
カリフォルニア州のRVホームレス問題と「バンロード」現象|2026年最新レポート

カリフォルニア州で深刻化するRV居住者の実態
最近、アメリカ・カリフォルニア州、特にシリコンバレーを抱えるベイエリアで、RV(レクリエーション・ビークル)で生活せざるを得ない人々が急増していることをご存じでしょうか。
「テクノロジーの中心地」として知られるこの地域で、なぜこのような事態が起きているのでしょうか。実は、住宅価格の高騰、慢性的な住宅不足、そして「バンロード」と呼ばれる新たな社会問題が複雑に絡み合っているのです。
2026年2月現在、カリフォルニア州全体では野宿ホームレスが9%減少し、15年間で最大の改善を見せています。しかし、サンタクララ郡では2019年から2025年にかけて、車両で生活する人々の割合が18%から37%へと倍増しているのです。推定1,000人以上がRVやバンで暮らしており、この数字は氷山の一角かもしれません。
この記事では、カリフォルニア州で何が起きているのか、RVホームレス問題の背景から最新の対策まで、データに基づいて詳しくお伝えします。単なる社会問題ではなく、住宅市場や地域経済にも大きな影響を与えているこの問題について、一緒に考えていきましょう。
カリフォルニア州の住宅危機|なぜここまで深刻なのか
住宅供給不足の実態と混乱する推定値
カリフォルニア州の住宅不足は、専門家によって推定値が大きく異なります。最も少ない見積もりでは56,000戸、最も多い推定では350万戸もの住宅が不足しているとされています。
この数字の大きな開きは、測定方法の違いや定義の違いによるものですが、それ自体が問題の複雑さを物語っています。主な推定値を見てみましょう。
主要機関による住宅不足推定値
- McKinsey(2016年):350万戸不足
- カリフォルニア州立法分析局(2015年):270万戸不足
- California Housing Partnership(2023年):130万戸不足(低所得者向けに限定)
- Up For Growth(2024年):84万戸不足
- Moody’s Analytics(2025年):56,000戸不足
最も現実的な見積もりとして、カリフォルニア州住宅コミュニティ開発局(HCD)は、8年サイクルで250万戸の追加建設が必要としています。これは、今後予測される人口増加と、過去に建てるべきだったのに建てられなかった住宅の数を合わせた数字です。
数字がどれであっても、住宅が足りていないことは明らかで、これが深刻な社会問題を生み出す根本原因となっているのです。
ベイエリアの「異常」な住宅コスト
サンタクララ郡は、AppleやGoogleといった世界的企業の本社があり、全米で最も高額な郵便番号トップ50のうち、なんと8つがこの地域に集中しています。
2025年から2026年にかけての住宅コストを見てみましょう。
ベイエリアの住宅コスト(2025-2026年)
- サンタクララ市の平均家賃:月額3,465ドル(1ベッドルーム、約52万円)
- サンノゼ市の住宅価格中央値:140万ドル(約2億1,000万円)
- 全米の住宅価格中央値:40万ドル(約6,000万円)
- サンノゼの価格は全米平均の 3.5倍
- カリフォルニア州の2ベッドルーム平均家賃:月額2,680ドル(約40万円)
これらの数字を見ると、なぜフルタイムで働いている人でさえ、普通のアパートに住むことができず、RVでの生活を選ばざるを得ないのかが分かります。
全米最悪レベルのホームレス率
カリフォルニア州は、全米のホームレス人口の24%に当たる約187,000人を抱えています。ホームレス率では全米5位ですが、さらに深刻なのは、ホームレスになった場合に路上生活を強いられる確率が全米で最も高いという点です。
シェルター施設が圧倒的に不足しているため、ホームレスの3人に2人が野宿を余儀なくされています。屋根のある施設に入れる人は、3人に1人しかいないのです。
サンタクララ郡では、車両で生活する人々の割合が急増しています。
- 2019年:ホームレス人口の18%が車両居住
- 2025年:37%に倍増(パンデミック後の影響も含む)
- 推定1,000人以上がRVやバンで生活
- 現在の公営セーフパーキング施設:わずか128台分のみ
需要に対して支援施設が圧倒的に足りていないことが分かります。
RVホームレス問題の背景にあるもの
働いているのに家がない|現代の住宅危機
RVで生活する人々というと、仕事がない人々を想像するかもしれません。しかし、実際には多くの人がフルタイムで働きながら、RV生活を送っています。
高騰する家賃を払えないだけでなく、アパートを借りるための初期費用(敷金、礼金に相当するもの)を貯めることができない人々が増えています。月給の多くが生活費に消えてしまい、まとまったお金を準備することができないのです。
また、信用スコアの問題や過去の賃貸履歴の問題で、そもそもアパートを借りることができない人々もいます。アメリカでは信用スコアが低いと、賃貸契約を結ぶことが非常に難しくなります。
こうした人々にとって、RVは「最後の選択肢」となっています。路上で寝るよりはましで、雨風をしのげる最低限の「家」として機能しているのです。
RVと普通の住宅の違い|生活の実態
RVでの生活は、想像以上に過酷です。多くのRVには以下のような問題があります。
- 電気や水道が使えない(公道に駐車している場合)
- トイレやシャワーが機能しない、または衛生的でない
- 冷暖房が不十分で、夏は猛暑、冬は極寒
- 狭いスペースで複数人が生活することも
- 修理やメンテナンスの費用負担が重い
- プライバシーがほとんどない
公道に駐車している場合、定期的に移動しなければならず、警察からの退去命令を受けることもあります。安定した生活の基盤がないため、仕事を探すことも、健康を維持することも難しくなります。
パンデミックが加速させた問題
新型コロナウイルスのパンデミック(2020-2021年)は、この問題をさらに悪化させました。
多くの人々が職を失い、家賃を払えなくなりました。パンデミック中は一時的な立ち退き猶予措置がありましたが、それが終了すると、一気に住宅を失う人々が増えたのです。
同時に、リモートワークの普及により、都市部の住宅需要が一時的に変化しましたが、ベイエリアでは依然として住宅価格が高止まりしています。テクノロジー企業で働く高所得者層がいる一方で、サービス業などで働く人々との所得格差が拡大し、「同じ地域に住めない」という分断が生まれています。
「バンロード」という新たな社会問題
影の賃貸市場の出現
「バンロード」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは「ランドロード(家主)」をもじった造語で、老朽化したRVを購入し、住宅に困窮する人々に路上駐車したまま賃貸する個人や業者を指します。
このビジネスモデルは、カリフォルニアの住宅危機を利用した、いわば「影の賃貸市場」を形成しています。正規の賃貸市場から弾き出された人々の弱みにつけ込む、略奪的なビジネスと言えるでしょう。
驚くべき賃料の実態
「バンロード」が請求する賃料は、RVの状態を考えると非常に高額です。
RV賃貸の賃料(2025年データ)
- Facebook Marketplaceでの違法賃貸:月額800〜1,300ドル(約12万〜19万円)
- 高額ケース:最大で月額1,300ドル(電気・水道なし)
- 典型的な賃料レンジ:月額500〜1,000ドル(約7万5,000円〜15万円)
- サンフランシスコの正規RVパーク:月額2,500ドル(設備完備)
驚くべきことに、電気も水道もない、公道に駐車されただけのRVに、月額10万円以上を払っているケースがあるのです。
しかも、この賃料は通常の賃貸契約ではないため、テナント保護法の適用外です。賃借人は法的保護を受けられず、いつでも即座に立ち退きを迫られるリスクにさらされています。
規制の動きと限界
この問題に対して、自治体も対策を始めています。
サンノゼ市は2024年に「バンロード禁止条例」を制定し、公道上でのRV賃貸を違法化しました。しかし、警察の内部メモによれば、現時点では「広範な問題」とは認識されていないようです。確認されている「バンロード」はわずか2名で、合計20台程度のRVを賃貸しているとされています。
実際にはもっと多くの「バンロード」が存在すると見られていますが、取り締まりは容易ではありません。Facebook MarketplaceやCraigslistなどのオンラインプラットフォームを通じた取引が多く、匿名性が高いためです。
一方、サンフランシスコのダニエル・ルーリー市長は2024年7月、RVホームレス対策として大型車両の2時間駐車制限を全市で導入しました。これは2026年2月に開催されるSuper Bowl LX(スーパーボウル)を前にした「掃討作戦」の一環とも見られており、問題の根本解決ではなく「見えなくする」対策だという批判もあります。
なぜ「バンロード」が問題なのか
「バンロード」現象は、いくつかの深刻な問題を示しています。
正規市場の機能不全 :普通の賃貸市場が、低所得者層のニーズに全く応えられていないことの証拠です。
法的保護の欠如 :賃借人はテナント保護を受けられず、劣悪な環境でも文句を言えません。
公衆衛生の問題 :適切な衛生設備がないRVでの生活は、健康リスクを高めます。
社会的分断の深化 :富裕層と貧困層の居住地が完全に分離され、コミュニティの一体感が失われます。
この問題は、住宅危機が単なる「数の不足」ではなく、社会の構造的な問題であることを浮き彫りにしています。
自治体の取り組みと課題|セーフパーキング施設の現状
サンノゼ市の大規模施設
カリフォルニア州の自治体も、手をこまねいているわけではありません。サンノゼ市は、州内最大級のRV向けセーフパーキング施設「Berryessa Safe Parking Site」を2025年3月に開設しました。
施設の詳細
- 建設コスト:970万ドル(約14億5,000万円、当初見積もり1,600万ドルから削減)
- 年間リース料:170万ドル(最低10年契約)
- 収容台数:86台のRV
- 運営費:年間280万ドル(非営利団体WeHopeに委託)
- 提供サービス:ケースマネジメント、シャワー、食事、24時間警備
この施設は、単に駐車場を提供するだけでなく、居住者が安定した住宅に移行できるよう支援するプログラムも含まれています。
第1号施設(サンタテレサ駅)と合わせて、サンノゼ市は合計128台のRV収容能力を持つことになりました。しかし、推定1,000人超の需要に対しては圧倒的に不足しています。
財政的な持続可能性への疑問
この施設には、財政面での課題もあります。
年間で約450万ドル超(リース料170万ドル+運営費280万ドル)を投じて86台を支援する構造は、1台あたり年間約5万2,000ドルのコストに相当します。
これは、サンタクララ市の年間平均家賃(約4万1,580ドル)よりも高額です。つまり、普通のアパートを借りる方が安いという逆転現象が起きているのです。
もちろん、この費用にはケースマネジメントや就労支援などのサービスも含まれていますが、長期的な財政負担として自治体予算を圧迫する可能性があります。また、このモデルを拡大して1,000台に対応しようとすると、年間6,000万ドル以上が必要になる計算で、現実的ではありません。
根本的な解決にはならない理由
セーフパーキング施設は、確かに重要な一歩です。路上で不安定な生活を送る人々に、安全な場所と基本的なサービスを提供します。
しかし、これは対症療法であり、根本的な解決ではありません。
根本的な問題
- 住宅供給そのものが増えていない
- 家賃の高騰が止まっていない
- 低所得者向けの手頃な住宅が建設されていない
- RVから普通の住宅への移行が難しい
セーフパーキング施設から出た後、行く場所がなければ、また路上に戻るか、別のセーフパーキングを探すことになります。「出口」のない支援は、永続的なコストとなってしまうのです。
州全体の取り組み|Proposition 1
州レベルでも対策が進んでいます。2024年3月、カリフォルニア州民は住民投票で「Proposition 1(提案1号)」を承認しました。
これは64億ドル(約9,600億円)の一般財源債を発行し、行動健康(メンタルヘルスと薬物依存症)のインフラを構築するものです。
資金の配分
- 約44億ドル:メンタルヘルス・薬物依存治療施設の建設
- 残り約20億ドル:支援付き住宅の開発
- 予想される治療ベッド数:6,800床
- 外来治療枠:26,700スロット
ホームレス問題には、メンタルヘルスや薬物依存症の問題が深く関わっているケースも多いため、包括的な支援が必要とされています。
ニューサム州知事は2019年以降、住宅・ホームレス対策を州政策の最優先課題とし、以下のようなプログラムを実施してきました。
- Homekey :250プロジェクトで約16,000戸創出(累計172,000人にサービス提供)
- HHAP (Homeless Housing, Assistance, and Prevention):50億ドル超を自治体に配分
- Encampment Resolution Funds :10億ドル(120の野営地で23,000人を支援)
- CEQA改革 :環境訴訟からアパート開発を保護(2025年成立)
- 公共交通近接地の高密度開発許可 (2025年成立)
これらの取り組みにより、2026年2月時点でカリフォルニア州の野宿ホームレスは9%減少し、15年間で最大の改善を記録しました。しかし、依然として全米のホームレス人口の4分の1を占めており、道のりは長いと言わざるを得ません。
経済・産業への影響|RV市場とテック業界の変化
RV業界の二極化現象
RVホームレス問題は、RV業界にも複雑な影響を与えています。
2025年のRV出荷台数は約342,220台で、わずかながら成長を記録しました。しかし、市場は明確に二極化しています。
2025年RV市場の状況
- モーターホーム平均卸売価格:62,637ドル(前年比マイナス1.5%)
- トレーラー・フィフスホイール平均価格:15,408ドル(大幅下落)
- 高額クラスA(大型モーターホーム):金利上昇で需要低迷
- クラスB(バンコンバージョン):パンデミック需要からの正常化で減少
- クラスC(中型):手頃な価格帯で相対的に堅調
- フィフスホイール出荷:前年比20%以上の増加(高機能志向の富裕層向け)
興味深いのは、高額なレジャー用RVの需要が低迷する一方で、市場の底辺では老朽化した非稼働RVが「住宅代替品」として取引される新たなセグメントが形成されつつあることです。
これは従来の「レクリエーション市場」とは全く異なる需要構造を持っています。メーカーが想定していない使われ方であり、ブランドイメージにも影響を与える可能性があります。
テック業界の雇用変動と住宅市場
シリコンバレーの中心地であるサンタクララ郡では、2022年から2025年にかけて約60,000件の雇用が失われました。その大半はテック企業のレイオフによるものです。
主要な動き
- Meta:2026年3月にベイエリアで100人超の追加レイオフを計画
- テック企業全体での人員削減継続
- リモートワークの定着による人材流出加速
- 一方でAI関連投資は継続(選別的な雇用拡大)
これだけ雇用が減少しているにもかかわらず、住宅価格は高止まりしています。
2025年ベイエリア住宅市場
- サンタクララ郡住宅価格中央値:181万ドル
- 在庫期間:わずか1.1ヶ月(非常に短い)
- サンフランシスコ郡:リモートワーク拡大により初の市場縮小
- 投資家所有住宅の割合:カリフォルニア全体で19%
この矛盾した状況(価格高止まり+雇用減少)は、構造的な供給制約の深刻さを示しています。供給があまりにも少ないため、需要が多少減っても価格が下がらないのです。
また、住宅の5分の1近くが投資家によって所有されているという事実も、一般の人々が住宅を購入できない一因となっています。
地域経済への長期的影響
RVホームレス問題は、地域経済にもさまざまな影響を及ぼします。
ネガティブな影響
- サービス業の人手不足:レストランや小売店で働く人々が住めない
- 消費の減少:住宅費に多くを取られ、他の消費が減る
- 教育への影響:不安定な住環境は子どもの教育に悪影響
- 公衆衛生コスト:適切な医療を受けられない人々の増加
- 治安悪化のリスク:貧困と犯罪の相関
一部のポジティブな動き
- 手頃な価格帯の住宅建設への注目増加
- 支援サービス産業の成長(ケースマネジメント、就労支援など)
- モジュラー住宅など新しい住宅ソリューションの開発
経済全体としては、マイナスの影響の方が大きいと考えられます。生産的な労働力が不安定な住環境に苦しみ、本来の能力を発揮できない状況は、地域経済の損失です。
今後の見通し|問題は解決に向かうのか
政策の方向性と課題
カリフォルニア州は、住宅建設を促進するためにいくつかの重要な改革を進めています。
2025年に成立した主要改革
- CEQA改革 :カリフォルニア環境品質法(CEQA)は、開発プロジェクトに環境影響評価を義務付ける法律ですが、しばしば住宅建設を遅らせる原因となっていました。2025年の改革では、アパート開発を環境訴訟から保護する条項が追加されました。
- 公共交通近接地の高密度開発許可 :駅やバス停の近くでは、より高密度の住宅建設を許可する法律が成立しました。これにより、都市部での住宅供給が増える可能性があります。
しかし、これらの改革が実際に住宅供給増加につながるまでには時間がかかります。建設業界の人手不足、資材コストの上昇、地域コミュニティの反対(NIMBYism:Not In My Back Yard=「私の裏庭には建てないで」)など、多くの障害が残っています。
連邦政府の政策変更リスク
2025年1月にトランプ政権が復帰したことで、連邦レベルでの支援に不透明感が増しています。
懸念される動き
- HUD(住宅都市開発省)のホームレス支援助成金の遅延
- 低所得者向け食料・医療補助への官僚的障壁の増加
- 連邦補助金全般の削減の可能性
カリフォルニア州は、連邦政府の後退を補うために州独自の財政負担を増やさざるを得ない可能性があり、州財政への圧力が高まるかもしれません。
一方で、2026年2月には「Trump Homes」構想(100万戸開発計画)が浮上しました。これがどの程度実現するかは不明ですが、連邦レベルでの住宅建設促進の動きとして注目されています。
社会的な意識変化の必要性
この問題の解決には、政策や予算だけでなく、社会全体の意識変化も必要です。
必要な意識変化
- ホームレスは「個人の問題」ではなく「構造的な問題」という認識
- 低所得者向け住宅の建設を地域で受け入れる寛容さ
- 短期的なコストではなく長期的な社会的利益を重視する視点
- 「見えなくする」対策ではなく「解決する」対策への転換
サンフランシスコのSuper Bowl前の掃討作戦のように、「見えなくする」ことで問題を先送りにする対策は、根本的な解決にはなりません。
10年スパンで考えるべき課題
現実的に考えて、カリフォルニアの住宅危機が短期間で解決することはないでしょう。
仮に州の目標通り8年で250万戸を建設できたとしても、それは年間約31万戸のペースです。現在のカリフォルニア州の年間住宅建設戸数は約10万〜15万戸程度ですから、現在の2〜3倍のペースで建設を続ける必要があります。
これは容易なことではありません。建設業界の労働力、資材の供給、資金調達、規制の緩和、地域の合意形成など、すべてが揃わなければ達成できない数字です。
つまり、RVホームレス問題は少なくとも今後10年以上、カリフォルニア社会が向き合い続けなければならない課題だと言えるでしょう。
まとめ|構造的問題への長期的な取り組みが必要
カリフォルニア州のRVホームレス問題は、単独の原因で起きているわけではありません。数十年に及ぶ住宅建設の不足、極端な住宅コスト、不十分なセーフティネット、経済変動への脆弱性、そして複雑な規制が複合的に絡み合った結果です。
「バンロード」という影の経済の出現は、正規の賃貸市場が低所得者層のニーズに全く応えられていないことを象徴しています。老朽化したRVに月額10万円以上を払わざるを得ない人々がいるという事実は、住宅危機の深刻さを物語っています。
自治体や州政府は、セーフパーキング施設の設置、Proposition 1による行動健康インフラの整備、CEQA改革による住宅建設の促進など、さまざまな取り組みを進めています。2026年2月時点で野宿ホームレスが9%減少したことは、これらの努力が一定の成果を上げている証拠です。
しかし、根本的な問題である住宅供給不足は依然として深刻です。年間31万戸という建設目標は、現在のペースの2〜3倍であり、達成には多くの障壁があります。
この問題は、一朝一夕には解決しません。財政的なコミットメント、政治的な意志、そして何より社会全体の意識変化が必要です。ホームレスを「見えなくする」のではなく、「住める場所を増やす」ことに本気で取り組まなければ、問題は解決しないでしょう。
カリフォルニア州の住宅危機は、経済的繁栄と社会的困難が同時に存在する現代アメリカの縮図とも言えます。この問題がどう展開していくのか、今後も注目していく必要があります。
私たちにできることは、この問題を「遠い国の話」として片付けず、住宅政策や社会的セーフティネットの重要性を考えるきっかけにすることではないでしょうか。
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