
ソフトバンクグループ(9984)最新決算を徹底解説!AI投資で業績急回復の理由とは

はじめに
「ソフトバンクグループの株価が急騰しているけれど、今何が起こっているの?」「AI関連銘柄として注目されているけれど、実際の業績はどうなの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ソフトバンクグループは2025年度に入って劇的な業績回復を遂げており、第2四半期累計では純利益が前年同期の約3倍となる2.9兆円を記録しました。さらに2026年1月には1株を4株に分割する発表もあり、個人投資家からの注目度も高まっています。
この記事では、ソフトバンクグループの最新決算内容(2026年3月期 第2四半期)をもとに、業績が急回復した背景や今後の見通し、投資する際の注目ポイントをわかりやすく解説します。AI投資の本命株として評価されている理由や、押さえておくべきリスクについても丁寧にお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
ソフトバンクグループとは?事業内容と市場での位置づけ
複合的な事業ポートフォリオを持つ投資持株会社
ソフトバンクグループ(証券コード:9984)は、一言で表現すると 「テクノロジー企業への投資を中心とした持株会社」 です。孫正義氏が率いる同社は、単なる通信会社ではなく、世界中のAI・テクノロジー企業に投資する巨大な投資ファンドとしての側面が強い企業です。
主な事業セグメントは以下の5つに分かれています。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)事業 では、AI・テクノロジー企業への投資を行っています。約500社を超えるスタートアップ企業に出資しており、OpenAI(ChatGPTの開発元)やByteDance(TikTokの運営会社)などの有力企業が含まれます。
Arm事業 は、英国の半導体設計会社であるArmホールディングスを保有しています。Armは世界中のスマートフォンやデータセンター向けCPUの設計技術で圧倒的なシェアを持ち、AI時代の中核技術として評価されています。2023年9月にナスダック市場へ再上場を果たしました。
ソフトバンク事業 は、国内通信事業を担う子会社「ソフトバンク株式会社」です。携帯電話サービスや法人向けソリューション、PayPayとの連携などで安定収益を生み出しています。
アリババ投資 では、中国の大手EC企業アリババグループへの持分投資を行っています。創業期から出資しており、長年にわたって大きな含み益を抱える戦略的資産です。
その他保有資産 として、PayPayなどのフィンテック企業やラテンアメリカファンドなど、多岐にわたる投資先があります。
市場で注目される「テーマ株」としての顔
ソフトバンクグループは、投資家から複数のテーマ株として認識されています。特に 「AI関連株」 としての注目度が高く、Armを通じた生成AI・データセンター向け半導体設計や、ビジョンファンドを通じたAI企業投資により、AI市場の成長を取り込める銘柄として評価されています。
また、世界最大級のテック投資ファンドを運営する 「投資事業・ベンチャーキャピタル株」 でもあり、AI搭載ロボットへの戦略投資を進める 「フィジカルAI・ロボット関連株」 としても期待されています。さらに、子会社を通じた 「通信キャリア株」、PayPay等への投資による 「フィンテック・キャッシュレス決済株」 といった多面的な特徴があります。
2024年以降は特に、孫正義会長が掲げる「AIへの集中投資」戦略が市場で高く評価され、 生成AI投資の本命株 として大きな注目を集めています。
最新決算の注目ポイント!業績はどう変化したのか
第2四半期決算で純利益が前年同期の約3倍に急拡大
2025年11月11日に発表された2026年3月期 第2四半期決算では、驚くべき業績回復が示されました。2025年7月から9月の直近四半期では、売上高が1兆9,165億円(前年同期比8.4%増)、税引前利益が2兆9,964億円(前年同期比2.4倍)、そして 純利益は2兆5,022億円と前年同期の2.1倍 に達しました。
第2四半期累計(2025年4月から9月)で見ても、売上高は3兆7,368億円(前年同期比7.7%増)、税引前利益は3兆6,864億円(前年同期比2.5倍)、 純利益は2兆9,241億円と前年同期の2.9倍 という驚異的な数字を記録しています。
前期の2025年3月期通期では、売上高7兆2,438億円、純利益1兆1,533億円でしたので、このペースが続けば通期でも大幅な増益が期待できる状況です。なお、ソフトバンクグループは投資先の株価変動や為替の影響を受けやすい事業特性から、通期の業績予想は非開示としています。
株式分割で個人投資家にも買いやすく
2026年1月1日付で 1株を4株に分割 することが発表されました。基準日は2025年12月31日で、この株式分割により投資最低単位が大幅に引き下げられます。
従来は1株あたり約19万円前後で推移していたため、100株単位での購入には約190万円が必要でしたが、分割後は約47万円程度で購入できるようになります。これにより、個人投資家の参入障壁が大きく下がり、流動性の向上が期待されています。
また、期末配当も44円から11円へ修正されていますが、これは株式分割後のベースに換算したものです。実質的には1株あたり22円相当の配当となり、 増配 を意味しています。
自社株買いで株主還元を強化
株主還元策として、2024年8月8日から2025年8月7日の期間で、総額3,303億円、42,033,200株の自社株買いを実施しました。積極的な株主還元策は株価の下支え要因となっており、投資家から好感されています。
セグメント別に見る業績の詳細
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業が大幅黒字化
ソフトバンクグループの業績回復を牽引したのが、 ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)事業 です。第2四半期累計の投資損益は 3兆3,621億円の利益 を計上しました。前年同期はわずか1,006億円の利益でしたので、実に30倍以上の急拡大です。
この好調の最大の要因は、 NVIDIA株式保有に係る評価益 です。世界的なAI株高により、NVIDIAの株価が急騰したことで、保有株式の含み益が大きく膨らみました。また、SVF1およびSVF2を通じて投資している約500社超のAI・テクノロジー企業の評価額も上昇しており、OpenAI、ByteDance、Didi、Coupangなどの主要投資先の価値向上が寄与しています。
AI市場全体の成長期待が高まる中、ビジョンファンドのポートフォリオ全体が追い風を受けている状況です。
Arm事業が株価上昇で大きく貢献
半導体設計大手のArmホールディングスも、ソフトバンクグループの業績に大きく貢献しています。Armは2023年9月にナスダック市場へ再上場を果たしましたが、その後株価が大幅に上昇しました。
Armが手がける半導体設計技術は、スマートフォンだけでなく、AI向けデータセンターCPU、自動車、IoT機器など幅広い分野で採用されています。特に生成AI関連の需要拡大により、Armv9という新しいアーキテクチャへの移行が加速しており、ロイヤリティ収入も増加傾向です。
AI時代のコンピューティングの中核技術を保有するArmの戦略的価値は、今後さらに高まると期待されています。
ソフトバンク(通信子会社)も堅調に推移
国内通信事業を担うソフトバンク株式会社も、上期決算で全セグメント増収増益を達成しました。法人向けの5GやIoTソリューションが好調で、PayPayとの連携強化によるシナジー効果も出ています。また、AIを活用した業務効率化を推進しており、コスト削減と顧客満足度の向上を両立しています。
通信事業は安定的なキャッシュフローを生み出す事業であり、ソフトバンクグループ全体の財務基盤を支える重要な役割を果たしています。
アリババ等保有資産も含み益拡大
中国の大手EC企業アリババグループへの持分投資についても、株価回復により含み益が拡大傾向にあります。アリババ株式は持分法投資利益として計上されており、戦略的保有資産として継続保有する方針です。
中国経済の先行きには不透明感もありますが、アリババの事業基盤は依然として強固であり、長期的には価値向上が期待されています。
財務状況は健全化が進む
自己資本比率が大幅に改善
2025年9月末時点での財務状況を見ると、総資産は49兆1,610億円、自己資本は14兆2,892億円となっており、 自己資本比率は29.1% です。前期末(2025年3月末)の25.7%から3.4ポイント改善しており、財務の健全性が高まっています。
有利子負債倍率も1.64倍から1.41倍へ改善しており、借入依存度が低下しています。自己資本が3兆円近く増加したのは、上期の大幅な純利益の蓄積によるものです。
投資余力の拡大
剰余金は5兆5,846億円に達しており、新規投資や株主還元に充てる余力が十分にあります。財務体質の改善により、格付けの向上や資金調達コストの低減も期待でき、今後の成長投資をより積極的に進められる環境が整っています。
株価動向と投資判断のポイント
直近の株価は上昇基調
2025年12月5日の終値は19,285円で、前日比1,085円高(5.96%上昇)と大きく上昇しました。時価総額は27兆5,382億円に達し、日本株の中でも時価総額ランキング上位に位置しています。
PBR(株価純資産倍率)は1.92倍で、投資会社の平均的な水準である1.5~2.0倍のほぼ中位に位置しています。配当利回りは0.23%(株式分割考慮後は実質0.46%)と低めですが、これは成長投資を優先する方針によるものです。
信用倍率は4.06倍と買い残が優勢であり、市場参加者の期待の高さがうかがえます。
この半年で株価が上昇した理由
ソフトバンクグループの株価がこの半年で大きく上昇した背景には、いくつかの要因があります。
まず、 AI投資ブームによる評価向上 が挙げられます。生成AI市場の急拡大により、Arm株価が大幅に上昇したほか、ビジョンファンドが投資するAI企業の評価額も上昇しました。特にOpenAIへの戦略投資は市場で高く評価されています。
次に、 業績の劇的な改善 です。2024年度に赤字から黒字へV字回復し、2025年度上期では純利益が前年同期の約3倍に急拡大しました。過去の投資損失を一気に取り戻す勢いです。
さらに、 NAV(純資産価値)の大幅拡大 も理由の一つです。ソフトバンクグループは保有資産を時価評価したNAVを重要指標として開示していますが、2024年3月末のNAVは約27.8兆円と前年の約2倍に拡大しました。株価がNAVに対してディスカウント(割安)状態にあることから、投資妙味があると見られています。
株式分割による流動性向上期待 も株価上昇を後押ししました。最低投資額が引き下げられることで、個人投資家の参入が促進されると期待されています。
加えて、 自社株買いの継続 も株価の下支え要因となっています。年間3,000億円超の自社株買いは、需給面でプラスに働いています。
投資判断で注目すべきポイント
ソフトバンクグループへの投資を検討する際には、いくつかの指標やポイントを押さえておくことが重要です。
まず、 PER(株価収益率) については、通期業績予想が非開示のため算出できません。そのため、伝統的なバリュエーション指標での評価が難しい面があります。
PBR(株価純資産倍率) は1.92倍と、業界平均のほぼ中位水準です。ただし、ソフトバンクグループの場合、保有資産を時価評価した NAV(純資産価値) との比較が重要です。株価がNAVを下回る「NAVディスカウント」状態が続いており、理論的には割安との見方があります。
配当利回り は0.23%(分割後実質0.46%)と、通信キャリア平均の3~4%と比べて低水準です。しかし、これは成長投資を優先する方針によるものであり、成長性を重視する投資家にとっては妥当な水準と言えます。
今後の見通しと経営陣のメッセージ
孫正義会長が語るAI革命の未来
決算説明会において、孫正義会長は 「AI革命は始まったばかり」 と強調しました。今後10年でAI市場は10兆ドル規模に成長すると予測しており、ソフトバンクグループはその成長を取り込む絶好のポジションにあるとしています。
Armの戦略的価値についても言及し、AI時代のコンピューティングの中核技術を保有していることの重要性を訴えました。また、フィジカルAI(AIを搭載したロボット)などの新領域への投資を加速する方針も示しています。
さらに、OpenAIとの戦略提携により、日本でのAI事業展開で協業を進めることも発表されました。日本市場におけるAI技術の普及と活用を推進する構えです。
今後の重点施策
ソフトバンクグループが今後注力する施策として、以下の5つが挙げられます。
まず、 AI領域への集中投資継続 です。OpenAI、Perplexityなどの有力AI企業への追加投資や、フィジカルAI関連企業の発掘・育成を進めます。
次に、 Armの成長加速 です。AI向けデータセンターCPU市場でのシェア拡大や、自動車・IoT市場での採用拡大を目指します。
また、 ソフトバンク(通信子会社)との連携強化 も重要な施策です。AI事業の日本展開で協業し、法人向けAIソリューションの提供を拡大します。
財務体質のさらなる改善 も継続的に取り組みます。資産売却による有利子負債削減を進め、投資余力を確保します。
そして、 株主還元の強化 です。配当の安定継続(年44円→分割後換算で実質増配)や、機動的な自社株買いの実施により、株主への利益還元を強化します。
市場環境と業界内でのポジション
AI半導体市場の急成長が追い風
ソフトバンクグループが保有するArmにとって、AI半導体市場の成長は大きな追い風です。AI向け半導体市場は2030年までに年率30%以上の成長が予測されており、データセンター向けAIチップの需要が急拡大しています。
Armアーキテクチャは電力効率に優れており、AI時代の主流技術になる可能性があります。実際に、NVIDIAとの協業でAI向けCPUを開発しているほか、AWS、Googleなどのクラウド大手がArm採用を拡大しています。自動車分野でも、電動化・自動運転の進展により、Armが標準プラットフォームとなる動きが強まっています。
ベンチャー投資市場の動向
ベンチャー投資市場においては、生成AI投資が2024年に過去最高を記録しました。IPO市場も米国で回復傾向にあり、日本でも活況を呈しています。ただし、金利上昇局面では投資先のバリュエーション調整リスクもあり、慎重な見極めが必要です。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、AI関連企業への選別投資を継続しつつ、ポートフォリオの見直しと効率化を進めています。IPOやM&Aによるエグジット機会を活用し、投資リターンの実現を図る方針です。
同業他社との比較
ソフトバンクグループは独特のビジネスモデルを持つため、完全に比較可能な同業他社は限定的です。投資会社としては、米国のブラックストーンやKKR、セコイア・キャピタルなどが競合にあたります。
ソフトバンクグループの強みは、 テクノロジー・AI投資への特化 により世界最大級のテックVCとなっている点、通常のPEファンドより長期視点を持つ 長期保有戦略、そして通信事業等で安定収益を得る オペレーティング資産の保有 です。
一方で、株価が純資産価値を下回る NAVディスカウント が恒常化していることや、孫氏への権限集中による ガバナンス懸念、投資先の詳細開示が限定的という 透明性 の課題もあります。
通信キャリアとしては、子会社のソフトバンク株式会社が国内第3位の地位を占めています。法人向けソリューションで差別化を図り、PayPay等のフィンテック連携が強みとなっています。
期待できる材料と注意すべきリスク
今後期待できる材料
ソフトバンクグループに投資する上で期待できる材料としては、まず AI市場の爆発的成長 が挙げられます。生成AI市場の拡大により投資先の価値が上昇し、Arm株価のさらなる上昇余地があります。OpenAI等の有力企業がIPOすれば、巨額のリターンが期待できます。
NAVディスカウントの解消 も期待材料です。株式分割で流動性が向上し個人投資家の買いが増加すれば、自社株買い継続による需給改善と相まって、理論株価(NAVベース)との差が縮小する可能性があります。
新規大型投資の成功 も見込まれます。フィジカルAI分野での先行投資が実を結ぶ可能性があり、OpenAIとの協業で日本市場での収益化が進むことも期待されます。
財務体質の改善継続 により、有利子負債の削減で格付けが向上し、投資余力の拡大で新規投資機会を逃さない体制が整います。
また、 アリババ株の回復 により、中国経済の回復に伴って保有株式の評価益が拡大する可能性もあります。
注意すべきリスクと懸念材料
一方で、投資にあたって注意すべきリスクもいくつかあります。
まず、 AI投資バブルの崩壊懸念 です。過度な期待で投資先のバリュエーションが高騰しており、景気後退や金利上昇で調整リスクがあります。特にNVIDIA株価の急落リスクには注意が必要です。
未上場投資先の出口戦略 も課題です。IPO市場が冷え込むとエグジットが困難になり、含み益が実現益に転換できないリスクがあります。
地政学リスク として、米中対立によるアリババ等の中国資産の価値毀損や、技術規制強化によるArm事業への影響が懸念されます。
為替リスク も無視できません。ドル安円高が進行すれば外貨建て資産の円換算価値が減少します。ただし、有利子負債もドル建てのためある程度相殺されます。
金利上昇リスク により、借入コストが増加して財務負担が増えるほか、成長株の株価下落で投資先の評価損が発生する可能性があります。
孫正義氏への依存 というガバナンス面の懸念もあります。カリスマ経営者への過度な依存により、後継者問題が不透明な点はリスク要因です。
そして、 NAVディスカウントの恒常化 というリスクもあります。複雑な事業構造で投資家の理解が得にくく、本来の価値が株価に反映されない可能性があります。
まとめ
ソフトバンクグループは、AI革命の恩恵を最も受けると期待される日本株の一つとして、2024年度から業績が劇的に改善しています。第2四半期累計で純利益が前年同期の3倍となる2.9兆円を計上し、財務体質も大幅に改善しました。
AI関連投資の本命として、Arm、NVIDIA、OpenAI等の強力なポートフォリオを持ち、業績の急回復を実現しています。株式分割により最低投資額が約4分の1に引き下げられ、個人投資家にとっても投資しやすくなりました。NAVディスカウントの状態にあることから、理論的には割安水準との見方もあります。自社株買いの継続や実質増配など、株主還元も強化されています。
一方で、投資先の株価変動により業績が大きく変動する高いボラティリティや、業績予想非開示により投資判断が難しい点、地政学・金利リスクなど外部環境の影響を受けやすい点には注意が必要です。配当利回りも低位であるため、インカムゲイン狙いには不向きと言えます。
ソフトバンクグループは、成長性重視の長期投資に適した銘柄です。AI市場の成長を信じ、短期的な株価変動に耐えられるリスク許容度のある方に向いている銘柄と言えるでしょう。投資をご検討される際は、ご自身の投資方針やリスク許容度をよく考慮し、慎重にご判断ください。
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