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EPA危害認定撤廃が自動車業界に与える影響とは?2026年の規制変更を徹底解説

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目次

導入文

2026年2月12日、アメリカのトランプ政権が環境保護庁(EPA)による「危害認定」を撤廃したというニュースが、自動車業界に大きな波紋を広げています。この決定により、温室効果ガスの排出規制が大幅に緩和されることになり、自動車メーカーや消費者、そして環境団体まで、さまざまな立場から注目が集まっています。

「危害認定って何?」「自動車業界にどんな影響があるの?」「私たちの生活はどう変わるの?」そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、EPA危害認定撤廃の背景から、自動車メーカーへの影響、EV市場の現状、そして今後の展望まで、できるだけ分かりやすく解説していきます。専門用語が多く難しく感じるテーマですが、身近な話題として捉えられるよう、丁寧にご説明しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

EPA危害認定撤廃とは何か?基本を理解しよう

危害認定の歴史と役割

「危害認定」という言葉は、日常生活ではあまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。これは2009年、当時のオバマ政権下でEPAが出した科学的な判断のことです。具体的には、二酸化炭素を含む6種類の温室効果ガスが、私たちの健康や生活環境を脅かすという結論を示したものでした。

この判断は、アメリカの「大気浄化法」という法律に基づいて行われました。EPAは自動車から出る温室効果ガスを規制する法的な権限を持つようになり、過去16年間にわたって、さまざまな環境規制の根拠となってきました。

例えば、自動車の燃費基準を厳しくしたり、電気自動車(EV)への移行を促す政策を進めたりする際に、この危害認定が法的な裏付けとなっていたのです。身近なところでは、最近の車にエンジンの自動停止機能(アイドリングストップ)が搭載されているのも、こうした規制の影響と言えます。

撤廃の具体的な内容

2026年2月12日、トランプ政権のEPA長官リー・ゼルディン氏は、この危害認定を撤廃すると発表しました。ゼルディン長官は、この措置を「アメリカ史上最大の規制緩和」と表現し、過去16年間の規制が消費者の選択を制限し、数兆ドルものコストを国民に負担させてきたと主張しています。

今回の撤廃により、以下のような規制が削除されることになりました。

  • 2012年から2027年以降のモデルの自動車に対する温室効果ガス排出基準
  • アイドリングストップ機能などの省エネ技術に関する規制
  • 関連する報告義務やコンプライアンスプログラム

EPAの試算によれば、この措置により 1台あたり平均2,400ドル(約36万円)のコスト削減 が見込まれるとしています。つまり、新車を購入する際の価格が下がる可能性があるということですね。

撤廃の法的根拠

トランプ政権は、2023年の最高裁判決を引き合いに、EPAの権限解釈が行き過ぎていたと主張しています。特に「Loper Bright Enterprises v. Raimondo」や「West Virginia v. EPA」といった判決では、行政機関の規制権限に対する司法審査の基準が変化しており、これが今回の撤廃の背景にあると考えられます。

ただし、この決定には賛否両論があり、環境団体や多くの州政府が法的な挑戦を予告しています。今後、裁判所でどのような判断が下されるのか、注目が集まっています。

自動車業界への影響:複雑な反応と将来への不安

株式市場の即座な反応

危害認定撤廃のニュースが流れた2026年2月12日、株式市場では興味深い動きが見られました。電気自動車(EV)専門の企業と、ガソリン車も製造している従来型の自動車メーカーで、明暗がはっきりと分かれたのです。

純粋なEV企業 であるテスラ、リビアン、ルシッドの株価は、それぞれ5%前後の下落を記録しました。一方、 ガソリン車とEV両方を手がける企業 であるゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティスの株価は上昇しました。特にステランティスは4%近い上昇を見せています。

この反応は、市場が短期的には「柔軟な製品ラインナップを持つ企業が有利」と判断したことを示しています。規制が緩和されれば、高コストのEV開発を急ぐ必要がなくなり、利益率の高いガソリン車やハイブリッド車の販売を続けられるからです。

自動車メーカーの本音:規制の不確実性への懸念

しかし、自動車メーカーの公式声明を見ると、必ずしも手放しで喜んでいるわけではないことが分かります。

フォード・モーターは慎重な声明を発表しました。「当社は一貫して、顧客の選択、市場、社会的利益、米国の雇用成長と整合した、単一の安定した全国標準を主張してきました」

この表現から読み取れるのは、自動車メーカーが本当に求めているのは「規制緩和」そのものではなく、「 予測可能で安定した規制環境 」だということです。

自動車業界の専門家は、CNBCの取材に対してこう指摘しています。「自動車産業では、すべてが5年、7年、時には10年のタイムラインで動いています。計画を立てる能力が必要なのです。このような規制変更は、すでに実施されている多くの計画を本当に混乱させる可能性があります」

新しい車を開発するには、5年から10年もの時間がかかります。工場の設備投資は、10年から15年かけて回収していきます。バッテリー工場や電動パワートレインのサプライチェーンも、数年かけて構築されてきました。

つまり、今日決められた規制が数年後に変わってしまうと、これまでの投資が無駄になってしまうリスクがあるのです。これは、自動車メーカーにとって非常に大きな問題なのです。

巨額の減損損失:すでに支払われた代償

実は、アメリカの大手自動車メーカー(ビッグスリー)は、2025年から2026年にかけて、EV関連で巨額の損失を計上しています。

  • ステランティス:約265億ドル(約4兆円)の減損計上。株価は発表後30%も急落しました。
  • フォード:195億ドル(約2.9兆円)の減損計上。EV部門の赤字が続いています。
  • ゼネラルモーターズ:60億ドル(約9,000億円)の減損計上。

3社合計で 521億ドル超(約7.8兆円) という、想像もつかないほどの金額です。

これらの損失は、自動車メーカーがこれまでEV移行に巨額の投資を行ってきたことを示しています。今回の規制撤廃により、これらの投資の価値がさらに変わってしまう可能性があるのです。

グローバル市場との不整合リスク

自動車業界のもう一つの大きな悩みは、アメリカだけが規制を緩和しても、世界の他の地域では依然として厳しい規制が続いているという点です。

CNBCのレポートでは、こう指摘されています。「米国で事業を展開する多くの自動車メーカーは複数の国で事業を展開しており、それらの国の多くは依然として非常に厳格な排出規制を持っています」

主要市場の規制状況を見てみましょう。

  • 欧州連合(EU):2025年から2021年比で15%の排出削減を義務化しており、2030年にはさらに厳しくなる予定です。
  • 中国:「China 6」という厳しい基準を実施しており、新エネルギー車(NEV)の普及目標も設定しています。
  • 日本:独自の燃費基準を維持しています。
  • カリフォルニア州と12の州:独自のゼロエミッション車(ZEV)規制を継続する予定です。

グローバルに事業を展開する自動車メーカーにとって、これは大きなジレンマです。アメリカ市場だけのために規制の緩い車を作っても、世界の他の地域で売ることができません。結局、 最も厳しい市場の基準に合わせざるを得ない 可能性が高いのです。

EV市場の現状:転換期を迎えるアメリカと世界

アメリカのEV市場:予想外の減速

2025年の第4四半期、アメリカのEV市場に衝撃的な変化が起きました。

第3四半期には新車販売の10.5%がEVだったのに対し、第4四半期にはわずか5.8%にまで減少したのです。これは 四半期比で45%もの急減 です。

この急激な減速には、いくつかの理由があります。

  1. 税額控除の廃止:2025年まで、EV購入者は最大7,500ドル(約113万円)の税額控除を受けられました。これが廃止されたことで、EVの価格優位性が大きく失われました。
  2. 政治的な影響:トランプ政権の反EV的な発言やレトリックが、消費者心理に影響を与えた可能性があります。
  3. 充電インフラへの不安:長距離移動時の充電の不便さが、依然として購入のハードルとなっています。
  4. 中古EV市場の価格下落:新車EVの価値が急速に下がることへの懸念も広がっています。

2025年通年で見ると、アメリカのEV市場シェアはテスラが46%を占め、GMが13.2%、フォードが7%前後となっています。テスラのシェアは2024年の49%から若干低下しており、競争が激化していることが分かります。

中国の圧倒的な存在感

一方、世界のEV市場を見渡すと、中国の存在感が圧倒的です。

2025年、中国のBYD(比亜迪)がテスラを抜いて 世界最大のEV販売企業 になりました。BYDは226万台のバッテリーEVを販売したのに対し、テスラは163万台でした。

さらに驚くべき数字があります。

  • 中国からのEV輸出は343万台で、前年比70%増
  • 中国国内市場では、新エネルギー車(NEV)のシェアが約30%に達している

中国メーカーは、高品質で低価格のEVを大量生産する能力を持っています。もしアメリカの規制が緩和され、アメリカメーカーがEV開発を遅らせた場合、中国メーカーがアメリカ市場に参入する絶好の機会となる可能性があります。

これは、アメリカの自動車産業にとって長期的な競争力の低下につながるリスクがあります。

EV市場の今後:一時的な減速か、それとも構造的な変化か

興味深いことに、2025年のアメリカのEV販売台数は前年比2%減にとどまり、年間の市場シェアは7.8%を維持しました。第4四半期の急減にもかかわらず、年間では比較的安定していたのです。

これは何を意味するのでしょうか。EV市場には、補助金や規制に関係なく、一定の需要基盤が存在するということです。環境意識の高い消費者、テクノロジー愛好家、燃料費の節約を重視する人々など、さまざまな理由でEVを選ぶ人がいます。

バッテリー技術の進歩により、EVの航続距離は伸び、充電時間は短くなり、価格も下がってきています。これらの技術的な進歩は、規制とは無関係に続いていくでしょう。

今回の規制緩和が、アメリカのEV市場にどのような影響を与えるのか。一時的な減速で済むのか、それとも構造的な変化をもたらすのか。今後数年間の動向が注目されます。

州レベルの規制:分断するアメリカの自動車政策

カリフォルニア州の特別な権限

今回のEPA危害認定撤廃は連邦レベルの決定ですが、アメリカには州独自の規制を設ける権限があります。特に重要なのが、カリフォルニア州です。

アメリカの「大気浄化法」第177条は、カリフォルニア州に独自の車両排出基準を設定する特別な権限を与えています。これは、カリフォルニア州が歴史的に大気汚染問題に苦しんできた経緯があるためです。

さらに、他の州は連邦基準かカリフォルニア基準のどちらかを選択することができます。つまり、連邦政府が規制を緩和しても、カリフォルニア州とそれに追随する州は、独自に厳しい規制を維持できるのです。

カリフォルニア基準を採用している州

現在、以下の州がカリフォルニア基準を採用しているか、採用を検討しています。

  • カリフォルニア
  • ニューヨーク
  • ワシントン
  • マサチューセッツ
  • バーモント
  • メイン
  • コネチカット
  • ロードアイランド
  • デラウェア
  • メリーランド
  • ニュージャージー
  • ペンシルベニア
  • オレゴン
  • コロラド

これらの州では、アメリカの新車販売の約30%が行われています。つまり、アメリカ市場の3分の1近くでは、依然として厳しい排出規制が適用される可能性があるのです。

自動車メーカーにとっての悪夢シナリオ

自動車メーカーにとって、最も困難なのは「州ごとに異なる規制に対応しなければならない」という状況です。

業界専門家は、CNBCの取材に対してこう警告しています。「自動車メーカーが異なる市場で事業を展開する場合、それらの市場が異なる規制を持っていれば、地域の規制に合わせて製品戦略を調整し続けなければなりません。すべての市場で規制がより一貫していればいるほど、すべてを一貫して行い、収益性を高める規模の経済を達成する機会が得られます」

具体的には、以下のようなシナリオが考えられます。

  1. 連邦レベルでは規制が撤廃されるが、カリフォルニア州などの主要州では厳格な規制が維持される
  2. 自動車メーカーは実質的に「2つの製品ラインナップ」を維持する必要が生じる
  3. 生産の規模が分散され、スケールメリット(大量生産による効率化)が失われる
  4. 結果として、コストが上昇し、収益性が低下する

これは、自動車メーカーにとって非常に難しい経営判断を迫られる状況です。どちらの基準に合わせるべきか。両方に対応できる柔軟な製品を作るべきか。判断は容易ではありません。

法的挑戦と不確実性:長期化する可能性

環境団体による訴訟の予告

今回のEPA危害認定撤廃に対して、環境団体は即座に法的挑戦を予告しました。

環境保護団体NRDC(Natural Resources Defense Council)のスポークスパーソンは、CNBCの取材に対してこう述べています。

「政権が発表した通りに進めるのであれば、この措置に対して法的挑戦を行う予定です。これは法廷で支持されないと考えています。明確な法的枠組みがあります。議会が可決した大気浄化法は、EPAにこの汚染を削減する権限と責任があることを明示しています。そして科学も極めて明確です」

環境団体が主張する訴訟の論点は、主に以下の3つです。

  1. 科学的根拠の否定:EPAの決定が最新の気候科学と矛盾しているという主張
  2. 行政手続き法違反:適切な手続きを経ずに規則を変更したという主張
  3. 大気浄化法の解釈:議会が意図した法律の趣旨と整合していないという主張

過去の判例と最高裁の判断

実は、危害認定に対する法的挑戦は今回が初めてではありません。2012年、DC巡回控訴裁判所は危害認定への法的挑戦を退けました。過去の裁判所は一貫して危害認定を支持してきたのです。

しかし、2023年の最高裁判決「Loper Bright Enterprises v. Raimondo」(いわゆる「シェブロン尊重原則」の撤廃)により、状況が変わっています。この判決により、行政機関の規制権限に対する司法審査の基準が変化し、行政機関の判断がより厳しく審査されるようになったのです。

この変化が、今回の訴訟にどのような影響を与えるのか。環境団体側が勝つのか、トランプ政権側が勝つのか。予測は困難です。

不確実性がもたらす影響

訴訟が数年にわたって続く可能性が高いことは、自動車メーカーにとって大きな問題です。

訴訟中、自動車メーカーは「最終的にどの規制が適用されるか」が不明確な状態で、長期的な投資判断をしなければなりません。新しい工場を建設すべきか。EV開発に投資を続けるべきか。それとも従来型エンジンの開発を継続すべきか。

こうした重要な判断を、規制の不確実性の中で行わなければならないのです。これは、企業経営にとって非常にリスクの高い状況と言えます。

複数の州の司法長官も、独自に訴訟を起こすことを予告しています。連邦レベルの訴訟だけでなく、州レベルでも複数の訴訟が進行する可能性があり、法的な状況はさらに複雑化するでしょう。

経済と環境への影響:対立する見解

トランプ政権とEPAの主張

トランプ政権とEPAは、今回の危害認定撤廃が大きな経済的利益をもたらすと主張しています。

経済効果に関する主張

  • 総コスト削減:1.3兆ドル超(約195兆円)
  • 1台あたり平均2,400ドル(約36万円)の節約
  • 新車の購入しやすさの向上
  • アメリカの雇用と経済成長への貢献

EPA長官ゼルディン氏は、「危害認定は16年間にわたり、消費者の選択を制限し、アメリカ人に数兆ドルの隠れたコストを課してきました」と述べています。

環境効果に関する反論

トランプ政権は、環境への影響についても独自の見解を示しています。EPAは、「使用したモデルによれば、米国がすべての車両からの温室効果ガス排出をゼロにしたとしても、2100年までの世界の気候指標に実質的な影響はない」としています。

つまり、アメリカだけが厳しい規制を行っても、世界全体の気候変動に与える影響は限定的だという主張です。

環境団体の反論

一方、環境団体は全く異なる見解を示しています。

環境・健康コストの試算

NRDC(Natural Resources Defense Council)などの環境団体は、以下のような悪影響を警告しています。

  • 追加の気候変動汚染:180億トン
  • 追加の燃料コスト:1.4兆ドル(約210兆円)。より非効率な車両の燃料費が増えるため。
  • 2055年までに最大58,000人の早期死亡
  • 喘息の悪化、大気汚染の増加

環境団体は、「アメリカ人は、これらのより効率の悪い、より汚染度の高い車両に電力を供給するために、最大1.4兆ドルを燃料費として追加で支払うことになります」と指摘しています。

経済的な誤算の指摘

トランプ政権が主張する「1台あたり2,400ドルの節約」についても、環境団体は疑問を呈しています。確かに新車の購入価格は下がるかもしれませんが、燃費の悪い車を使い続けることで、長期的には燃料費が増加し、トータルのコストは逆に高くなる可能性があるという指摘です。

対立する見解の背景

なぜこれほどまでに見解が分かれるのでしょうか。

一つには、 どの時間軸で考えるか という違いがあります。短期的には、規制緩和によるコスト削減が確かに実現するかもしれません。しかし、長期的には、燃料費の増加、健康被害、気候変動による経済的損失など、見えにくいコストが発生する可能性があります。

もう一つは、 何を価値として重視するか という違いです。経済成長や消費者の選択の自由を重視するのか、それとも環境保護や将来世代への責任を重視するのか。価値観の違いが、見解の違いにつながっています。

私たち一人ひとりが、どちらの視点により説得力を感じるかは、それぞれの価値観によって異なるでしょう。ただ、両方の主張を理解した上で、バランスの取れた判断をすることが大切だと言えます。

今後の展望:2030年の自動車業界はどうなる?

シナリオ1:規制緩和が定着する未来

まず考えられるのは、トランプ政権の政策が2029年以降も継続し、規制緩和が定着するシナリオです。

このシナリオでは、以下のようなことが起こる可能性があります。

  • アメリカ市場でのEV普及が大幅に遅延する
  • 中国や欧州のメーカーがEV技術で大きく先行する
  • アメリカメーカーは国内市場では安泰だが、国際市場での競争力が低下する
  • 長期的には、アメリカの自動車産業全体が衰退するリスクがある

身近な例で考えてみましょう。1980年代、日本車がアメリカ市場に進出した時を思い出してください。燃費の良い日本車は、当初は「小さくて力がない」と軽視されていましたが、オイルショックを経て急速にシェアを拡大しました。アメリカのメーカーが対応に遅れた結果、長期的な競争力を失う結果となりました。

同じことが、今度はEVの分野で起こる可能性があるのです。

シナリオ2:規制が再強化される未来

2029年以降に政権交代が起こり、規制が再び強化されるシナリオも十分に考えられます。

このシナリオでは、以下のようなことが起こるでしょう。

  • 自動車メーカーは再度、急いでEV投資を加速させる必要に迫られる
  • しかし、数年のブランクがあるため、中国メーカーとの技術格差はさらに広がっている
  • 規制が4年ごとに変わる不確実性が、長期的な投資を阻害し続ける
  • 結果として、アメリカの自動車産業の競争力は更に低下する

過去を振り返ると、実際にこのようなことが起きています。トランプ第1期政権(2017-2021年)も規制緩和を進めましたが、バイデン政権で規制が復活しました。自動車メーカーは、この「規制のwhiplash(むち打ち)効果」に苦しめられてきたのです。

シナリオ3:規制が分断される未来

最も可能性が高いと考えられるのが、連邦と州の規制が分断される未来です。

このシナリオでは、

  • 連邦レベルでは規制が緩和されるが、カリフォルニア州など主要州では厳格な規制が維持される
  • 訴訟が長期化し、どの規制が最終的に適用されるかが不明確な状態が続く
  • 自動車メーカーは実質的に両方の基準に対応せざるを得なくなる
  • 結果として、生産コストが増大し、収益性が低下する
  • 業界再編(M&A)が加速する可能性がある

これは、自動車メーカーにとって最も対応が難しいシナリオかもしれません。「規制が厳しい」「規制が緩い」のどちらかに統一されていれば、それに合わせた戦略を立てられます。しかし、「規制が地域ごとに異なり、しかも将来どうなるか不明確」という状況では、長期的な戦略を立てることが非常に困難になります。

歴史は繰り返される

自動車業界の歴史を振り返ると、規制の不確実性が業界に与える影響の大きさがわかります。

2018年、トランプ第1期政権が燃費基準の緩和を発表した時も、当初は自動車株が上昇しました。しかし、カリフォルニア州が独自基準を維持したため、自動車メーカーは実質的に厳格な基準に従う必要がありました。規制の不確実性が投資を抑制し、結果として業界全体にとってマイナスとなったのです。

2020年にバイデン政権への交代が確実になると、自動車メーカーは再びEV投資を加速しました。このように、政権交代のたびに戦略を変更せざるを得ない状況が、自動車業界の大きな負担となっているのです。

自動車の開発サイクルは10年、政権交代のサイクルは4年。このミスマッチが、構造的な問題を生み出しています。

まとめ:不確実性の時代における自動車業界

2026年2月12日に発表されたEPA危害認定撤廃は、一見すると「規制緩和による自動車業界への朗報」のように見えるかもしれません。しかし、詳しく見ていくと、状況はそれほど単純ではないことがわかります。

業界が本当に必要としているもの

自動車メーカーが本当に必要としているのは、規制緩和でも規制強化でもなく、「 長期的に予測可能で安定した規制環境 」です。

新車の開発には5年から10年、工場の設備投資は10年から15年かけて回収します。このような長期的なビジネスにおいて、4年ごとに規制が大きく変わる可能性があるというのは、非常に大きなリスクなのです。

短期と長期の視点

短期的には、規制緩和によるコスト削減の恩恵を受ける企業もあるでしょう。特に、ガソリン車とEV両方を手がける柔軟な製品戦略を持つ企業は、当面は有利な立場にあるかもしれません。

しかし、長期的に見ると、以下のようなリスクがあります。

  • 規制の不確実性:訴訟が長期化し、最終的にどの規制が適用されるか不明確
  • 州レベルの分断:カリフォルニア州など主要州が独自規制を維持する可能性
  • 国際競争力の低下:中国や欧州のメーカーがEV技術で先行し、アメリカメーカーが後れを取る
  • 将来の規制再強化:政権交代により規制が復活するリスク

グローバル市場の動向

アメリカ国内だけでなく、世界の自動車市場を見渡すことも重要です。

中国のBYDがテスラを抜いて世界最大のEVメーカーになったように、EV市場の中心は確実にアジアに移りつつあります。欧州も厳格な排出規制を維持し、EV技術の開発を推進しています。

アメリカだけが規制を緩和しても、グローバル市場の大きな流れが変わるわけではありません。むしろ、アメリカメーカーが世界の潮流から取り残されるリスクの方が大きいかもしれません。

消費者への影響

私たち消費者にとっては、どのような影響があるでしょうか。

短期的には、新車価格が下がる可能性があります。規制緩和により、自動車メーカーのコストが削減されれば、その一部が価格に反映されるかもしれません。

ただし、長期的には以下のような懸念もあります。

  • 燃費の悪い車が増えれば、燃料費の負担が増える
  • 大気汚染が悪化すれば、健康への影響がある
  • EV技術の発展が遅れれば、将来の選択肢が狭まる

バランスの取れた視点を持つことが大切です。

今後注目すべきポイント

今後数か月から数年の間に、以下のような動きに注目していくと良いでしょう。

  1. 訴訟の進展:最初の地方裁判所の判決が数か月以内に出る可能性があります。
  2. 州の対応:カリフォルニア州など主要州がどのような対応を取るか。
  3. 自動車メーカーの投資判断:各社がEV投資を継続するのか、削減するのか。
  4. EV販売データ:規制変更後、実際にEV販売がどう推移するか。
  5. 中国メーカーの動向:アメリカ市場への参入が加速するか。

これらの動きを追うことで、自動車業界の今後の方向性が見えてくるはずです。

最後に

今回のEPA危害認定撤廃は、アメリカの自動車業界にとって大きな転換点となる可能性があります。それが良い方向に向かうのか、それとも新たな問題を生み出すのか。まだ誰にも分かりません。

確実に言えるのは、自動車業界が「 不確実性の時代 」に入ったということです。技術革新、環境問題、国際競争、そして政治的な要因が複雑に絡み合い、業界の未来を予測することが以前にも増して難しくなっています。

この変化の時代において、私たち一人ひとりができることは、情報をしっかりと理解し、バランスの取れた視点を持ち、自分なりの判断をしていくことではないでしょうか。

自動車は、私たちの生活に欠かせない存在です。そして、自動車産業は、環境問題とも密接に関わっています。今後の展開を、注意深く見守っていきたいですね。

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