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カナダが中国製EVを受け入れへ!関税引き下げの背景と自動車産業への影響を解説

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カナダが中国製の電気自動車(EV)に対する関税政策を大きく転換したことをご存知でしょうか。2024年には米国に追随して106%という高い関税をかけていたカナダが、2026年に入って一転、6.1%という低い関税で中国製EVを受け入れる方針を発表しました。

この劇的な政策転換は、単なる貿易交渉の成果というだけでなく、カナダ自動車産業が抱える構造的な課題や、米国との微妙な関係性、そして世界的なEV競争の激化など、さまざまな要因が絡み合っています。

この記事では、カナダの中国製EV受け入れ政策の詳細から、その背景にあるカナダ自動車産業の現状、米加貿易関係への影響、そして今後の展望まで、分かりやすく解説していきます。自動車業界やEV市場に関心のある方、北米の貿易動向を知りたい方にとって、重要な情報をお届けします。

目次

カナダの中国製EV政策転換の全容

106%から6.1%への劇的な関税引き下げ

カナダ政府が発表した新しい政策は、多くの専門家を驚かせるものでした。わずか1年余り前の2024年、カナダは米国と足並みを揃える形で、中国製EVに対して 「106%」 という非常に高い関税を設定していました。これは事実上、中国製EVをカナダ市場から締め出すための措置でした。

ところが2026年初頭、カナダはこの方針を180度転換します。新しい政策の主なポイントは以下の通りです。

  • 初年度は49,000台の中国製EVを 「6.1%」 の低関税で受け入れる
  • 5年後にはこの割当を70,000台まで段階的に拡大する
  • 関税率は2024年以前の標準的な水準に実質的に戻る形となる

この6.1%という数字は、2024年以前にカナダが適用していた通常の自動車関税率です。つまり、カナダは一度引き上げた関税を、わずか1~2年で元の水準まで戻すという決断をしたことになります。

農産物貿易交渉との関連性

表面的には、この政策転換は中国との農産物貿易交渉の一環として発表されました。具体的には、カナダ産キャノーラ油(菜種油)の対中輸出に関する関税引き下げ交渉とセットになっています。

カナダは世界有数の農業国であり、特にキャノーラ油は重要な輸出品目です。中国はカナダにとって大きな農産物の輸出先であるため、この交渉は経済的に大きな意味を持ちます。しかし、多くの専門家は、この政策転換には農産物貿易以上の深い戦略的意図があると指摘しています。

政策転換の本当の理由

実は、この政策転換の背景には、カナダが置かれている複雑な状況があります。

第一に、カナダの自動車産業は過去20年以上にわたって深刻な縮小傾向にあります。2000年には約300万台の生産能力を誇っていたカナダの自動車製造業は、2025年には130万台まで減少しました。これは 「57%もの縮小」 を意味します。

第二に、米国との貿易関係が悪化しています。特に2025年以降のトランプ政権下で、米国はカナダからの輸入車に対して厳しい関税政策を導入しました。カナダ製自動車の約90%は輸出向け、そのほとんどが米国向けですから、この状況はカナダ自動車産業にとって死活問題です。

こうした背景から、カナダ政府は貿易相手の多角化と、新しい産業戦略の構築を迫られているのです。

カナダ自動車産業が直面する構造的課題

25年間で半減した生産能力

カナダの自動車産業の縮小は、一時的な不況ではなく、構造的な問題です。数字を見てみましょう。

  • 2000年:約300万台の生産能力
  • 2025年:約130万台の生産能力
  • 減少率:57%の縮小

この四半世紀で、カナダは自動車生産大国としての地位を大きく失ってきました。この背景には、グローバルな自動車産業の再編、人件費の高さ、そして隣国メキシコへの生産拠点シフトなど、さまざまな要因があります。

米国市場への極端な依存

カナダ自動車産業のもう一つの特徴は、米国市場への圧倒的な依存です。

  • カナダで生産される車両の 「約90%」 が輸出向け
  • そのほとんどが米国市場に向けられている
  • 逆に、カナダ国内で販売される車両の約90%は輸入品

つまり、カナダは自動車の 「製造拠点」 として機能しており、生産した車のほとんどを米国に輸出し、自国民が購入する車は海外から輸入するという構造になっています。この極端な輸出依存が、米国との貿易摩擦が起きた際の脆弱性につながっています。

トランプ政権の関税政策の影響

2025年以降、米国トランプ政権は保護主義的な通商政策を強化しました。カナダからの輸入車に対しても、厳しい関税措置が導入されています。

現在の米国の政策では、カナダから輸入される車両の 「非米国コンテンツ」 に対して25%の関税がかけられています。これは車両1台あたり実質10~12%程度の税率になると試算されています。

さらに、トランプ大統領はカナダが中国製EVを受け入れることに対して強く反発し、全カナダ製品に 「100%の関税」 をかけるという脅しをかけています。これが実現すれば、カナダの自動車産業は壊滅的な打撃を受けるでしょう。

カナダが持つ独自の強み

このように厳しい状況にあるカナダ自動車産業ですが、独自の強みも持っています。

業界団体であるデトロイト自動車メーカー協会のカナダ代表は、「カナダは米国が中国から離脱するために必要なすべてを持っている」と述べています。具体的には以下の点です。

  • 重要鉱物資源:リチウム、ニッケル、コバルトなど、次世代EV製造に不可欠な鉱物資源が豊富
  • クリーンエネルギー:水力発電や原子力発電による、安価でクリーンな電力供給能力
  • 高度な技術力:自動車製造の長い歴史に基づく技術基盤

これらの強みを活かせれば、カナダはEV時代の自動車産業で重要な役割を果たせる可能性があります。問題は、この潜在力をどう実現するかという戦略です。

米加貿易関係の緊張と北米自動車産業への影響

高度に統合された北米自動車サプライチェーン

米国とカナダ、そしてメキシコの自動車産業は、長年にわたって極めて緊密に統合されてきました。この統合の度合いは、一般の方が想像する以上に深いものです。

例えば、エンジンやトランスミッションといった主要部品は、完成するまでに国境を 「7~8回」 も往復することがあります。ある部品がカナダで加工され、米国で組み立てられ、再びカナダに戻って別の工程を経て、また米国に送られる…というように、国境を越えた複雑なサプライチェーンが構築されているのです。

このシステムは、NAFTA(北米自由貿易協定)やその後継であるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の下で発展してきました。関税なしで部品や完成車が国境を越えられることを前提に、最も効率的な生産体制が組まれているのです。

関税がもたらすサプライチェーンの混乱

米国が導入した関税政策は、この高度に統合されたサプライチェーンに深刻な混乱をもたらします。

部品が国境を往復するたびに関税がかかるとすれば、物流コストは劇的に上昇します。また、関税を避けるためにサプライチェーンを再編成しようとすれば、膨大な設備投資と時間が必要になります。

主要な自動車メーカーへの影響は避けられません。

  • 米国メーカー(GM、フォード、ステランティス):カナダ生産の約23%を占め、関税の直接的な影響を受ける
  • 日本メーカー(トヨタ、ホンダ):カナダ生産の77%を占め、より大きな市場シェアを持つため影響も大きい

これらのメーカーは、長年にわたって構築してきた北米統合戦略の根本的な見直しを迫られる可能性があります。

カナダの報復措置と悪循環

カナダが中国製EVを受け入れる決定をしたことで、米加の貿易摩擦はさらに激化する恐れがあります。

米国の立場からすれば、カナダが中国製EVを低関税で受け入れることは、米国の対中強硬政策を弱体化させる行為です。中国製EVがカナダ経由で北米市場に流入する可能性を懸念しています。

一方、カナダの立場からすれば、米国の一方的な関税政策によって自国の自動車産業が打撃を受けている以上、貿易相手を多角化し、中国とも協力関係を築くのは当然の防衛策です。

この対立が深まれば、北米自動車産業全体にとって誰も得をしない状況が生まれかねません。

消費者への影響

こうした貿易摩擦は、最終的には消費者にも影響を及ぼします。

関税によって自動車の価格が上昇すれば、米国やカナダの消費者は高い買い物を強いられることになります。特に、手頃な価格のEVへの移行を進めようとしている両国にとって、自動車価格の上昇は政策目標に逆行します。

また、選択肢の減少も懸念されます。関税障壁によって特定の市場から車両が締め出されれば、消費者が選べる車種やブランドが限られてしまいます。

中国EVメーカーにとってのカナダ市場

限定的な市場規模

カナダが中国製EVに門戸を開いたとはいえ、中国のEVメーカーにとって、カナダ市場はどれほど魅力的なのでしょうか。

カナダの新車販売市場規模を見てみましょう。

  • 年間販売台数:180万~200万台
  • 米国市場との比較:米国市場の約8分の1の規模
  • 中国EV割当:49,000台(市場全体の約2.5%)

つまり、カナダ市場は北米の中では比較的小さく、さらに中国製EVに割り当てられた枠は全体の2.5%程度に過ぎません。5年後に70,000台に拡大したとしても、市場全体の3.5~4%程度です。

製造拠点設立のハードル

自動車工場を新設して採算を取るためには、一般的に年間 「20万~25万台」 以上の生産規模が必要とされています。

カナダ市場で中国製EVに割り当てられた49,000台の枠を、BYD、NIO、XPeng、Li Autoなど複数の中国メーカーで分け合うとすれば、各社が販売できるのはせいぜい1万~1万5000台程度です。

この規模では、カナダに新たに工場を建設する経済的合理性はほとんどありません。むしろ、中国やアジアの既存工場から完成車を輸出する方が現実的でしょう。

北米市場へのゲートウェイとしての期待と限界

一部では、カナダが中国EVメーカーにとって北米市場進出の足がかりになるのではないかという見方もあります。

しかし、現実には大きな障壁があります。

第一に、米国が中国製EVに対して高い関税障壁を維持している限り、カナダから米国への再輸出は経済的に成り立ちません。

第二に、米国はカナダが中国製EVを受け入れることに強く反発しており、カナダ製品全体に報復関税をかける可能性すら示唆しています。

こうした状況を考えると、中国EVメーカーがカナダを北米市場進出の拠点と位置づけるのは、少なくとも短期的には難しいでしょう。

中国メーカーの現実的な戦略

では、中国のEVメーカーはカナダ市場をどう活用するのでしょうか。

最も現実的なのは、限定的な規模での輸出拠点として活用し、ブランド認知度を高めることです。カナダ市場で実績を積み、品質や信頼性を証明できれば、将来的に米国市場へのアクセスが改善した際のための布石となります。

また、カナダ政府が推進する合弁事業に参画し、技術移転や現地雇用創出に貢献することで、政治的な支持を得るという戦略も考えられます。

カナダ政府の産業政策パッケージと今後の展望

包括的な自動車産業支援策

カナダ政府は2026年2月、中国製EV受け入れと同時に、包括的な自動車産業支援策を発表しました。これは単に中国車を受け入れるだけでなく、国内産業の競争力強化を目指す総合的な戦略です。

主な施策は以下の通りです。

消費者向けインセンティブ

EV購入時に 「5,000カナダドル」 の補助金を復活させました。この補助金は2025年に予算が枯渇して一時停止していましたが、再び導入されることになりました。これにより、消費者はより手頃な価格でEVを購入できるようになります。

製造業向け税額控除

国内で自動車を製造する企業に対して、新しい税額控除制度を導入しました。これは既存メーカーだけでなく、新規に参入する企業も対象となる可能性があります。

国際協力の多角化

中国との合弁事業を推進すると同時に、韓国ともクリーンビークル製造に関する覚書を締結しました。現代自動車、起亜、LG、サムスンSDIといった韓国企業との協力も視野に入れています。

戦略的な目標

カナダ政府がこうした政策を推進する背景には、明確な戦略目標があります。

第一に 「雇用創出」 です。合弁事業や国内投資を通じて、カナダ人労働者の雇用を確保・拡大することを目指しています。自動車産業は直接雇用だけで約12万人、関連産業を含めると40万人以上の雇用を支えているため、この産業の維持は経済政策上の重要課題です。

第二に 「サプライチェーン構築」 です。EV関連のサプライチェーン、特にバッテリー製造や重要鉱物の加工などを国内で育成することで、付加価値を高めようとしています。

第三に 「貿易多角化」 です。米国一辺倒だった貿易構造から脱却し、中国、韓国、欧州など複数の地域との経済関係を強化することで、リスクを分散しようとしています。

政策の実効性と課題

こうした意欲的な政策パッケージですが、実効性には疑問も残ります。

最大の課題は、やはり米国市場へのアクセス問題です。カナダがどれだけ国内投資を促進しても、生産した車両の大部分を輸出する米国市場で高い関税がかかるのであれば、投資の魅力は大きく損なわれます。

また、カナダの政治情勢も不安定要因です。連邦政府の支持率が低下しており、近い将来の政権交代の可能性も指摘されています。新政権が現在の政策を継続するかどうかは不透明です。

財政面でも課題があります。補助金や税額控除には多額の財政支出が必要ですが、カナダ政府の財政状況は必ずしも余裕があるわけではありません。

今後のシナリオ

今後の展開として、いくつかのシナリオが考えられます。

楽観シナリオでは、米加の貿易交渉が進展し、関税が緩和または撤廃されます。その場合、カナダの資源優位性とクリーンエネルギー供給能力が活きて、北米EV産業の重要な拠点として再浮上する可能性があります。

中立シナリオでは、現状の膠着状態が続きます。カナダは限定的な中国製EV受け入れと韓国企業との協力で、小規模な産業基盤を維持しますが、大きな成長は見込めません。

悲観シナリオでは、米加の貿易摩擦がさらに激化し、米国が実際に100%の報復関税を実施します。その場合、カナダの自動車産業は壊滅的な打撃を受け、雇用喪失と経済的混乱が生じる可能性があります。

どのシナリオが現実になるかは、今後数ヶ月から1年程度の間の米加交渉の行方にかかっているでしょう。

まとめ:変革期にあるカナダ自動車産業

カナダの中国製EV受け入れ政策は、単なる一つの貿易政策変更以上の意味を持っています。これは、カナダ自動車産業が直面している構造的課題への対応であり、米国との複雑な関係性の中での戦略的な選択であり、そしてグローバルなEV競争の中でのポジショニングの試みでもあります。

この政策転換の背景には、25年間で半減したカナダの自動車生産能力、米国市場への極端な依存、そしてトランプ政権下での貿易摩擦激化という厳しい現実があります。カナダ政府は、貿易相手の多角化と新しい産業戦略の構築によって、この危機を乗り越えようとしています。

一方で、この政策には大きな不確実性も伴います。49,000台という限定的な割当は、中国EVメーカーにとって製造拠点を設立する動機としては不十分です。また、米国の強い反発は、さらなる報復関税のリスクをもたらしています。

カナダが持つ重要鉱物資源やクリーンエネルギーという強みは、長期的には大きなポテンシャルを秘めています。しかし、それを実現するには、米国との関係改善と、持続可能な産業政策の実行が不可欠です。

今後数ヶ月から1年の間に、米加貿易交渉がどう進展するか、中国や韓国の企業がカナダにどの程度投資するか、そしてカナダ国内の政治情勢がどう変化するかが、この政策の成否を左右するでしょう。

グローバルな自動車産業が電動化という大転換期を迎える中、カナダの挑戦は、中規模国家が地政学的・経済的な制約の中でどう生き残るかという、より普遍的な問いを投げかけています。その答えは、まだ誰にも分かりません。

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