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トランプ・アカウントとは?米国で始まる新しい資産形成制度を徹底解説

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「子どもの将来のために、今から何かできることはないだろうか」――そんな思いを抱く親御さんは多いのではないでしょうか。2026年7月、アメリカで「トランプ・アカウント」という画期的な制度がスタートします。これは連邦政府が未成年者の口座に直接お金を入金し、株式市場で運用するという、これまでにない取り組みです。

すでに約200万件を超える申請が受理され、推定30億ドル以上の資金が米国株式市場に流れ込む見込みとなっています。この制度はアメリカの家族にどんな影響を与えるのでしょうか。また、金融市場や企業活動にどのような変化をもたらすのでしょうか。

本記事では、トランプ・アカウントの仕組みから、企業や富裕層の参加状況、税務上の注意点、そして長期的な影響まで、この新制度のすべてを分かりやすくご紹介します。アメリカの金融政策に関心のある方、お子さんの資産形成について考えている方、そして米国市場の動向を知りたい方にとって、必見の内容となっています。

目次

トランプ・アカウントとは?制度の基本を理解しよう

建国250周年を記念した新しい資産形成プログラム

トランプ・アカウントは、2025年7月4日に成立した「One Big Beautiful Bill Act」という法律によって誕生しました。正式には公法119-21、通称「Working Families Tax Cut(働く家族のための減税)」と呼ばれています。

この制度を主導したのは、テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員です。アメリカ建国250周年を記念する政策として位置づけられ、財務長官のスコット・ベッセント氏は2026年1月28日の演説で「ウォール街とメインストリートの史上最大の統合」と表現しました。

「メインストリート」とは一般市民の生活を指す言葉で、これまで富裕層や機関投資家が中心だった株式投資の世界に、一般家庭の子どもたちが参加できるようになることを意味しています。

どんな子どもが対象になるの?

トランプ・アカウントの対象となるのは、以下の条件を満たす子どもたちです。

連邦政府からの初期資金がもらえる子ども:
– 2025年1月1日から2028年12月31日の間に生まれた米国籍の子ども
– 1人あたり1,000ドル(約15万円)が支給されます
– 推定で年間約350万人、4年間で約1,400万人が対象

口座開設だけできる子ども:
– 18歳未満のすべての米国籍の子ども
– ただし連邦政府からの1,000ドルはもらえません
– 家族や友人、雇用主からの拠出は可能

お金はどこから、いくら入れられるの?

トランプ・アカウントには、複数の資金源から入金できる仕組みになっています。

連邦政府からの初期資金:
2026年7月4日(独立記念日)に、対象となる子どもの口座に1,000ドルが一括で入金されます。これは「パイロットプログラム(試験的な取り組み)」として実施されるもので、今後の継続は未定です。

家族や友人からの拠出:
親、祖父母、親戚、友人などが年間最大5,000ドルまで入金できます。18歳になるまで毎年5,000ドルずつ入れ続けると、元本だけで最大90,000ドル(約1,350万円)にもなります。

雇用主からの拠出:
企業が従業員の子どものために年間最大2,500ドルまで拠出できます。これは従業員の課税所得に含まれないため、税制上のメリットもあります。

どんな投資ができるの?引き出しのルールは?

トランプ・アカウントには、いくつか重要な特徴があります。

投資対象は米国株式インデックスのみ:
「S&P 500」などの米国株式指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)に限定されています。個別の株式を選んで投資することはできません。また、債券などの安定資産への分散投資もできず、100%株式での運用となります。

18歳まで引き出せない:
原則として、子どもが18歳になるまでお金を引き出すことはできません。教育費が必要になっても、緊急事態が起きても、基本的には手をつけられない仕組みです。

18歳以降は退職口座と同じルール:
18歳を過ぎると、アメリカの個人退職口座(IRA)と同じルールが適用されます。つまり、59.5歳未満で引き出すと10%のペナルティ(罰金のようなもの)がかかります。ただし、住宅購入の頭金や高額医療費など、一部の例外は認められています。

7月4日に何が起こる?市場への影響を読み解く

約30億ドルが一斉に株式市場へ流入

2026年7月4日、アメリカの独立記念日に歴史的な瞬間が訪れます。約300万人の子どもたちの口座に、連邦政府から合計約30億ドルが入金されるのです。

さらに、企業からのマッチング拠出(約半数の企業が参加すると仮定)で約15億ドル、家族からの初期拠出(平均500ドルと仮定)で約15億ドルが加わると予想されています。つまり、初年度だけで 60億ドルから87.5億ドル もの資金が新たに米国株式市場に流れ込む計算になります。

専門家の冷静な見方:「影響は限定的」

これだけの金額が一度に市場に流れ込むと聞くと、株価が大きく動くのではないかと思われるかもしれません。しかし、市場の専門家たちは冷静な見方をしています。

「Stock Trader’s Almanac」のリサーチディレクターであるクリストファー・ミスタル氏は、次のように分析しています。

「仮にすべての口座が7月6日(月曜日)に一斉に投資されたとしても、米国株式市場の1日の平均取引高は約5,000億ドルです。今回の資金はその約1.7%に過ぎません。FRB(連邦準備制度理事会)が行う量的緩和による資金流入と比べれば、極めて限定的な規模です」

一方、Commonwealth Saversのメアリー・モリスCEOは、まだ分からないことが多いと指摘します。

「具体的にどの投資信託やETFに資金が流れるのか、どの金融機関が口座を管理するのか、税務処理の詳細はどうなるのか――現時点では答えが出ていない疑問の方が多いのが実情です」

長期的には年間30~50億ドルの恒常的な流入

7月4日の一時的な影響は小さくても、長期的には異なります。2025年から2028年までの4年間、毎年新たに生まれる子どもたち約350万人の口座に、連邦政府から最低でも30億ドルが投入され続けます。

これに企業のマッチング拠出や家族からの積立を加えると、年間50億ドル前後の資金が継続的に株式市場に流れ込むことになります。特にS&P 500に連動するETF(SPY、VOO、IVVなど)には、集中的に資金が向かうと予想されています。

インデックスファンド業界への恩恵

投資対象が米国株式インデックスに限定されているため、大手資産運用会社にとっては大きなビジネスチャンスです。バンガード、ブラックロック、ステート・ストリートといった運用会社が管理するS&P 500連動型のファンドには、数十億ドル規模の資金が流れ込む見込みです。

また、この制度をきっかけに、約1,000万人規模の新しい投資家層が誕生することも注目されています。子どもたちが18歳になって口座にアクセスできるようになる2043年以降、金融リテラシー(お金の知識)を持った若者世代が増えることで、アメリカの投資文化がさらに広がる可能性があります。

企業が続々参加!誰がいくら拠出しているのか

金融業界はほぼ全面参加

財務長官ベッセントの演説や「Americans for Tax Reform」という団体の調査によると、2026年2月時点で40社以上の大手企業がトランプ・アカウントへの拠出を表明しています。

特に金融セクターの参加は目覚ましく、以下の企業が名を連ねています。

大手銀行:
– JPモルガン・チェース:従業員の子ども1人あたり1,000ドル
– バンク・オブ・アメリカ:同じく1,000ドル
– シティグループ:同じく1,000ドル
– ウェルズ・ファーゴ:拠出を確認(詳細は未発表)

資産運用・証券会社:
– チャールズ・シュワブ:1,000ドルに加え、金融教育プログラムも提供
– ブラックロック:参加表明
– ステート・ストリート:参加表明
– バンク・オブ・ニューヨーク・メロン:大手金融機関として初めて参加を発表(2025年12月11日)

興味深いことに、バンガードは2026年2月時点では参加を表明していません。同社は低コストのインデックスファンドで知られる業界最大手の一つですが、参加の有無は今後の動向に注目です。

テクノロジー企業も積極的に参加

シリコンバレーを中心とするテクノロジー企業も、次々と参加を表明しています。

半導体・ハードウェア:
– インテル:従業員の子ども1人あたり1,000ドル
– エヌビディア:拠出を確認(CEOのジェンセン・ファン氏が言及)
– IBM:基本1,000ドルに加え、親が24ヶ月以内に4,000ドル拠出すると追加で1,000ドル
– デル・テクノロジーズ:1,000ドル(創業者の巨額寄付とは別枠)
– ブロードコム:参加表明

通信・サービス:
– コムキャスト:拠出を確認
– チャーター・コミュニケーションズ:拠出に加え、従業員向けに給与天引き機能も提供

フィンテック企業ならではのユニークな取り組み

新興のフィンテック(金融テクノロジー)企業も、この制度に熱心に参加しています。

  • コインベース: 暗号資産取引所のCEOであるブライアン・アームストロング氏は「ビットコインで拠出できることを希望する」とコメント。暗号資産での拠出が認められるかは未定ですが、注目を集めています。

  • ロビンフッド: 個人投資家向けアプリで知られる同社も1,000ドルを拠出。

  • SoFi: 1,000ドルの拠出に加え、「納税者負担ゼロで全児童にサービス提供できる」と表明。口座管理のインフラを無償提供する意向を示しています。

  • Acorns: お釣りを自動投資するアプリを提供する同社は、1,000ドル拠出に加え、既存の「Acorns Early」という子ども向けプログラムとの統合を発表。

決済業界も従業員ベネフィットとして導入

  • VisaMastercard は、米国従業員向けの福利厚生パッケージにトランプ・アカウントへの拠出を組み込みました。

  • Russell Investments は1,000ドル拠出に加え、法案で定められた期限(2028年)後も継続する意向を表明しています。

その他の業界からも幅広く参加

金融やテクノロジー以外の業界からも参加が広がっています。

  • Chipotle(飲食): メキシカンファストフードチェーンが1,000ドル拠出。「企業文化と従業員支援への献身」を強調。
  • Uber(配車サービス): 拠出を確認。

  • Steak ‘n Shake(飲食): 2025~2028年生まれの従業員の子ども全員に1,000ドル。

  • Fox CorporationNews Corporation(メディア): ともに1,000ドル拠出。

  • Continental Resources(石油・天然ガス): 全事業州で実施予定。

企業が参加する理由とは?

企業がトランプ・アカウントに拠出する背景には、いくつかの動機があります。

人材確保の競争力強化:
優秀な人材を採用し、長く働いてもらうための福利厚生の一つとして位置づけられています。401(k)という退職金制度のマッチング拠出と同じように、「この会社で働くと子どもの将来にもメリットがある」というアピールになります。

税制上のメリット:
企業が年間2,500ドルまで拠出する場合、その金額は従業員の課税所得に含まれません。つまり、従業員は税金を払わずに実質的な給与上乗せを受けられるのです。

政治的・社会的アピール:
トランプ政権が推進する政策に協力することで、政治的なアライメント(連携)を示す効果もあります。また、次世代への投資という社会貢献活動(CSR)の一環としても捉えられています。

富裕層による巨額寄付「50州チャレンジ」の衝撃

デル夫妻の62.5億ドル寄付が話題に

トランプ・アカウントのユニークな点は、企業だけでなく富裕層による巨額の慈善寄付も促している点です。その象徴的な事例が、デル・テクノロジーズ創業者のマイケル・デル氏と妻のスーザン・デル氏による寄付です。

2025年12月2日、「Giving Tuesday(寄付の日)」に発表されたこの寄付は、 総額62.5億ドル という史上最大級の規模です。対象は10歳以下の約2,500万人の子どもで、1人あたり250ドルがトランプ・アカウントに入金される仕組みです。

デル夫妻は、トランプ・アカウントという既存のインフラを活用することで、効率的に多くの子どもたちに支援を届けられると判断しました。

ダリオ夫妻はコネチカット州の全児童に250ドル

世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の創業者、レイ・ダリオ氏と妻のバーバラ・ダリオ氏も、2025年12月17日に寄付を発表しました。

寄付額は最低7,500万ドルで、コネチカット州の約30万人の児童に1人あたり250ドルを拠出します。これはデル夫妻の1人あたり拠出額にマッチング(同額を寄付)する形です。

レイ・ダリオ氏は声明で次のように述べています。

「私たちは平等な機会を強く信じています。若者たちは多くの困難を抱えており、より良い成功の機会に値します」

トランプ・アカウント発案者も地元に1億ドル

トランプ・アカウントのアイデアを最初に提案したブラッド・ガースナー氏(投資会社Altimeter CapitalのCEO)も、自身の出身地であるインディアナ州の5歳未満児童約40.6万人に、1人あたり250ドルを寄付しました。総額は約1億ドルと推定されています。

暗号資産取引所はワイオミング州に恩返し

暗号資産取引所「Kraken(クラーケン)」は、ワイオミング州で2026年に生まれるすべての子どもにトランプ・アカウントへの拠出を行うと発表しました。

ワイオミング州は暗号資産に友好的な規制を整備しており、Krakenはこれを「世界本社に選んだワイオミングへの恩返し」「暗号資産規制のリーダーシップへの長期的なコミットメント」と説明しています。

サンフランシスコの匿名寄付者が350万ドル

サンフランシスコでは、匿名の寄付者が350万ドルを拠出し、2026年に同市で生まれるすべての子どもに1人あたり500ドルを提供することが、ダニエル・ルリー市長によってスーパーボウル週間中に発表されました。

社会的弱者への支援も

カリフォルニア州カーン郡の「Anand Legacy Foundation」は、50万ドルを寄付し、リハビリプログラムに参加中の母親から生まれた新生児に1人あたり1,000ドルを提供します。最も脆弱な立場にある家庭への支援として、社会的意義の高い取り組みです。

セレブリティも参加:ニッキー・ミナージュの思い

ラップアーティストのニッキー・ミナージュさんも、15万~30万ドルをファンの子どもたちに寄付すると表明しました。彼女は次のようにコメントしています。

「もし私が子どもの頃にこのようなものにアクセスできていたら、私の人生全体が違っていたでしょう」

自身の経験を踏まえた、心のこもった支援です。

「50州チャレンジ」で全米に広がるか

財務省は、全50州で慈善資金を拡大する「50州チャレンジ」を開始しました。2026年2月時点では、コネチカット州(ダリオ夫妻)、インディアナ州(ガースナー氏)、ワイオミング州(Kraken)が参加していますが、今後さらに広がる可能性があります。

これらの寄付によって、数百億ドル規模の資本が富裕層から一般家庭の子どもたちへと再配分される動きが起きています。ただし、州によって追加資金の有無が異なるため、地域格差が生まれる懸念も指摘されています。

税務上の複雑な問題と注意すべきポイント

税引後と税引前、2つの拠出方法

トランプ・アカウントには、税務上の重要な特徴があります。それは、 税引後拠出税引前拠出 という2つの種類があることです。

税引後拠出:
親や祖父母が自分の手取りから直接入金する場合(年間最大5,000ドル)は、税引後拠出になります。将来子どもが18歳以降にお金を引き出すとき、元本部分は非課税ですが、運用益には通常の所得税がかかります。

税引前拠出:
連邦政府からの1,000ドル、雇用主からの拠出(年間最大2,500ドル)、慈善団体からの寄付は、税引前拠出として扱われます。受け取った年の所得には含まれませんが、将来引き出すときには元本も運用益も全額に所得税がかかります。

18年後の引き出し時に起こる「記録の悪夢」

税務の専門家であるマリアネラ・コラード氏(Tobias Financial AdvisorsのCEO、CFP資格保有者)は、重要な警告を発しています。

「18年間にわたる税引前拠出と税引後拠出を正確に記録し続けることが必須です。もし記録がない場合、引き出し全額に課税される『二重課税』のリスクがあります」

例えば、連邦政府の1,000ドル(税引前)と親からの5,000ドル(税引後)が入っている口座から引き出す場合、どの部分が税引前でどの部分が税引後なのかを証明する記録が必要なのです。

口座を管理する金融機関が自動的にこの区分を追跡してくれるのか、口座を別の金融機関に移す場合に記録が引き継がれるのか――こうした実務的な詳細は、2026年2月時点ではまだ明らかになっていません。

贈与税申告が必要になる可能性

もう一つの複雑な問題が、贈与税申告です。

アメリカの税法では、年間19,000ドル(2026年の基準)までの贈与は贈与税申告が不要とされています。ただし、これは受贈者が「すぐに使える」贈与に限られます。専門用語で「現在の利益(present interest)」と呼ばれる要件です。

トランプ・アカウントの場合、18歳まで引き出せないため、「現在の利益」に該当しない可能性があります。もしそうなると、5,000ドル未満の少額拠出でも贈与税申告書(Form 709)の提出が必要になるかもしれません。

特に祖父母が孫のために拠出する場合、この問題は深刻です。贈与税申告が必要になると、生涯贈与税控除枠(2026年時点で約1,500万ドル)を消費してしまう可能性があるためです。

トランプ・アカウントを推進する「Invest America」という団体のマット・リラ氏は、次のようにコメントしています。

「財務省はこの問題を認識しており、注視しています。今後ガイダンス(指針)を発行する予定です」

引き出し時にAGIが増えると他にも影響が

トランプ・アカウントから引き出したお金は、「調整後総所得(AGI)」に加算されます。AGIが増えると、以下のような影響が出る可能性があります。

  • 高額所得者に課される追加Medicare税(0.9%)の対象になる
  • 医療保険のプレミアム税額控除が減額される
  • 大学進学時の学資援助の受給資格が下がる
  • 社会保障給付(年金)への課税が発生する

このように、トランプ・アカウントからの引き出しは、単に税金を払うだけでなく、他の制度にも連鎖的に影響する可能性があるのです。

まだ答えが出ていない重要な疑問

2026年2月時点で、以下のような重要な疑問が残されています。

  1. 口座を管理する金融機関は、税引前・税引後の区分を自動的に追跡する仕組みを提供するのか?
  2. 口座を別の金融機関に移管する場合、記録はどのように引き継がれるのか?
  3. 親が亡くなって口座を相続する場合、税務上どのように評価されるのか?

これらの答えは、今後数ヶ月以内に財務省やIRS(内国歳入庁)から発表される見込みです。

他の貯蓄制度と何が違う?529プランとの比較

教育資金なら529プラン、自由度ならトランプ・アカウント

アメリカには従来から「529プラン」という教育資金専用の貯蓄制度があります。トランプ・アカウントとどう違うのか、比較してみましょう。

拠出限度額:
– トランプ・アカウント:年間5,000ドル(家族から)
– 529プラン:州によって異なるが、総額30万~55万ドルまで可能

税制優遇:
– トランプ・アカウント:税繰延(引き出し時に課税)
– 529プラン:教育費に使えば引き出し時も非課税

用途制限:
– トランプ・アカウント:18歳以降は自由(ただし59.5歳未満の引き出しにはペナルティ)
– 529プラン:教育費のみに限定(それ以外の用途だとペナルティ)

投資の選択肢:
– トランプ・アカウント:米国株式インデックスのみ
– 529プラン:株式、債券、年齢に応じて自動的にリスクを下げるポートフォリオなど多様

リスク管理:
– トランプ・アカウント:100%株式で固定、リスク調整なし
– 529プラン:「グライドパス」という仕組みで、子どもが大きくなるにつれて自動的に安全な資産に移行

連邦政府からの初期資金:
– トランプ・アカウント:1,000ドル(2025~2028年生まれのみ)
– 529プラン:なし

資産運用大手JPモルガンの提言

JPモルガン・アセット・マネジメントは、「新生児には両方の口座を開設すべき」と提言しています。教育費には税制優遇がより大きい529プランを使い、それ以外の将来の目標(起業資金、住宅購入など)にはトランプ・アカウントを使うという使い分けです。

退職口座(IRA)との類似性

金融プランニングの専門サイト「Kitces.com」のベン・ヘンリー・モーランド氏は、次のように分析しています。

「18歳以降、トランプ・アカウントは本質的に伝統的IRA(個人退職口座)と同じです。引き出し時に通常の所得税がかかり、59.5歳未満なら10%のペナルティが発生します」

重要な違いは、IRAには年間の拠出限度額や所得制限がありますが、トランプ・アカウントにはそれがない点です。また、トランプ・アカウントは18歳まで完全にロックされており、緊急時でも引き出せません。

まだ多くの謎が残る実務上の課題

どこの金融機関が口座を管理するのか?

2026年2月22日時点で、最も注目されている未解決の疑問は「誰が口座を管理するのか」です。

財務省は「designated financial agent(指定金融代理人)」が口座管理を行うと発表していますが、具体的な金融機関名はまだ公表されていません。

候補として名前が挙がっているのは以下の企業です。

  • ブラックロック: 世界最大の資産運用会社
  • ステート・ストリート: インデックス運用の巨人
  • チャールズ・シュワブ: 個人投資家向けサービスに強み
  • SoFi: 「納税者負担ゼロで全児童にサービス提供可能」と表明

数百万口座を同時に開設・管理する契約は、金融機関にとって大型案件です。どの企業が選ばれるかは、その企業の株価にも影響する可能性があります。

どの投資商品に資金が流れるのか?

IRS(内国歳入庁)の規則では「S&P 500などの米国株式指数に連動する投資信託またはETF」と規定されていますが、具体的な商品リストはまだ発表されていません。

主要な候補としては、以下のようなファンドが挙げられます。

  1. Vanguard S&P 500 ETF (VOO): 経費率0.03%と低コスト
  2. SPDR S&P 500 ETF (SPY): 最も取引量が多いETF
  3. iShares Core S&P 500 ETF (IVV): ブラックロックが運用
  4. Vanguard Total Stock Market ETF (VTI): S&P 500より広範な米国株式市場をカバー
  5. iShares Core S&P Total U.S. Stock Market ETF (ITOT)

ファンドの選択肢によって、運用成績やコストに差が出る可能性があります。

手数料が長期的に大きな影響を与える

CFP(公認ファイナンシャルプランナー)のザック・トイチュ氏(Values Added Financial)は、手数料の影響について警鐘を鳴らしています。

「もし口座管理手数料が年率0.5%かかる場合、65年間で口座価値の約25%が手数料で失われる可能性があります」

長期投資において、わずかな手数料の差が複利効果で大きな違いを生むのです。どの金融機関が選ばれ、どのような手数料体系になるのかは、制度の成否を左右する重要なポイントです。

本人確認と認証プロセスはどうなる?

口座を開設するには、以下のようなタイムラインで進む予定です。

  1. 現在~4月15日: IRS Form 4547を2025年の税務申告書と一緒に提出
  2. 5月: 認証プロセス開始(詳細は未発表)
  3. 7月4日: 連邦政府から1,000ドル入金
  4. 7月6日(月曜日): 最初の取引日

しかし、具体的にどのように本人確認が行われるのかは、まだ明らかになっていません。出生証明書を提出するのか、社会保障番号だけで済むのか、不正申請をどう防ぐのか――こうした実務的な詳細は、今後数ヶ月以内に発表される見込みです。

長期的なリスクと注意すべきポイント

制度は2028年以降も続くのか?

トランプ・アカウントは現時点で「2025年1月1日から2028年12月31日生まれ」が対象とされています。2029年以降に生まれる子どもも対象になるかは、次の政権次第です。

Tax Foundationという税制研究機関は次のように分析しています。

「制度の長期的な財政負担を考えると、プログラムの恒久化には議会の超党派的な支持が必要になるでしょう」

政権が変わると政策の優先順位も変わるため、この制度が将来的にどうなるかは不透明な部分があります。

100%株式運用のリスク

トランプ・アカウントの大きな特徴は、100%株式で運用され、債券などの安全資産への分散がない点です。

バンガードは研究ノートで次のように警告しています。

「トランプ・アカウントは529プランと異なり、年齢に応じてリスクを下げる仕組み(グライドパス)がありません。満期まで100%株式運用となるため、市場変動リスクへの長期的なエクスポージャー(さらされる度合い)が大きいのです」

例えば、2026年に生まれた子どもが2044年に18歳になるとき、もし金融危機が起きていたら口座の価値が大幅に減少している可能性があります。タイミングによっては、積み立てた元本を下回ることもあり得るのです。

金融格差が広がる懸念

制度の恩恵を最も受けるのは、どのような家庭でしょうか。

Commonwealth Saversのメアリー・モリスCEOは、次のような懸念を示しています。

「結局のところ、年間5,000ドルを積み立てられる余裕がある家庭、正規雇用で雇用主のマッチング拠出を受けられる家庭、金融リテラシーが高く制度を最大限活用できる家庭が、最も大きな恩恵を受けることになるでしょう」

また、慈善寄付も特定の州に集中しているため、どの州に生まれるかによって初期資金に数百ドルの差が出ます。

連邦政府の1,000ドルという初期資金は平等に配分されますが、その後の積み立てや追加支援には家庭の経済状況が大きく影響するため、結果的に格差が広がる可能性が指摘されています。

まとめ:米国の新しい資産形成制度が意味するもの

歴史的な意義を持つ制度

トランプ・アカウントは、以下の点でアメリカ史上画期的な取り組みです。

規模の大きさ:
潜在的に1,400万人の児童(2025~2028年生まれ)が対象となり、連邦政府だけで最大140億ドルが投入されます。企業拠出や慈善寄付を含めると、数百億ドル規模の資金が子どもたちの将来のために動き出します。

官民連携の広がり:
連邦政府、大企業、フィンテック企業、富裕層の慈善家が一体となって参加する大規模な協働プロジェクトです。特に40社以上の企業が従業員の子どものために拠出する動きは、福利厚生の新しい形として注目されています。

金融民主化への挑戦:
これまでウォール街の投資家や富裕層が中心だった株式市場に、一般家庭の子どもたちが参加する道が開かれました。「資本主義の民主化」という理念が、具体的な政策として形になりつつあります。

2026年7月に向けて注目すべきこと

7月4日の独立記念日に約30億ドルが一斉に市場に流入しますが、専門家の分析では短期的な市場への影響は限定的と見られています。むしろ注目すべきは、年間30~50億ドルが2028年まで継続的に株式市場に流れ込む長期的な構造変化です。

特にS&P 500に連動するインデックスファンドには、集中的に資金が向かうと予想されており、運用会社にとっては大きなビジネスチャンスとなっています。

まだ多くの疑問が残されている

2026年2月時点では、以下のような重要な疑問が未解決です。

  • どの金融機関が口座を管理するのか(2026年春に発表予定)
  • 具体的にどの投資商品に資金が流れるのか
  • 贈与税申告義務に関するIRSのガイダンス(2026年中に発表予定)
  • 本人確認や認証プロセスの詳細(5月の開始前に発表予定)
  • 税引前・税引後拠出の記録管理方法

これらの答えが明らかになるにつれて、制度の実像がより鮮明になってくるでしょう。

家庭にとって何を意味するのか

トランプ・アカウントは、子どもの将来のために早期から資産形成を始める機会を提供します。連邦政府からの1,000ドルという初期資金は、複利効果によって数十年後には大きく成長する可能性があります。

ただし、18歳まで引き出せない制約、100%株式運用によるリスク、複雑な税務処理など、注意すべき点も多くあります。529プランなど他の貯蓄制度との使い分けや、長期的な視点での家計計画が重要になってきます。

金融業界と市場への影響

約1,000万人規模の新しい投資家層が誕生することで、金融リテラシー教育の需要が高まり、投資文化がさらに広がる可能性があります。子どもたちが18歳になる2043年以降、この世代がどのように金融市場と関わっていくのか、長期的な視点で注目されています。

金融機関にとっては、数百万口座の管理契約、金融教育プログラムの提供、将来の顧客との長期的な関係構築など、さまざまなビジネス機会が生まれています。

トランプ・アカウントは、始まったばかりの制度です。2026年7月4日の本格始動に向けて、今後数ヶ月間で多くの詳細が明らかになっていくでしょう。この歴史的な実験が、アメリカの家族や金融市場にどのような変化をもたらすのか、引き続き注目していく必要があります。

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