
ペロブスカイト太陽電池が2026年に商用化!日本発の次世代技術と市場動向を徹底解説

## はじめに
「次世代の太陽電池」として注目を集めるペロブスカイト太陽電池。もしかすると、この名前を最近ニュースで目にされた方も多いのではないでしょうか。実は、2026年はこの技術にとって歴史的な転換点となる年なんです。日本企業が世界に先駆けて商用化に踏み切り、政府も強力にバックアップする体制が整っています。
この記事では、ペロブスカイト太陽電池とは一体どんな技術なのか、なぜ今注目されているのか、そして市場はどのように成長していくのかを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。専門的な内容も含まれますが、難しい用語はできるだけ噛み砕いて説明しますので、安心してお読みください。この記事を読み終える頃には、次世代太陽電池の全体像と今後の展望がしっかりと理解できるはずです。
## ペロブスカイト太陽電池とは?従来の太陽電池との違い
### 革新的な特性が切り開く新しい可能性
ペロブスカイト太陽電池は、私たちが今まで目にしてきた太陽光パネルとは大きく異なる特徴を持っています。まず驚くべきは、その **「軽さ」** です。従来のシリコン型太陽電池と比べて、なんと重さは10分の1以下。これがどれほど革新的かというと、これまで「重すぎて設置できない」と諦めていた場所にも太陽電池を設置できるようになるということなんです。
次に注目したいのが **「柔軟性」** です。フィルム状にできるため、曲面にも設置可能。ビルの壁面や曲がった屋根など、従来の硬いパネルでは無理だった場所にも対応できます。想像してみてください。街中のビルの壁一面が発電パネルになったり、カーブを描く建物のデザインを損なうことなく太陽電池を組み込めたりする未来を。
さらに **「製造コスト」** の面でも優位性があります。シリコン型は高温での複雑な製造プロセスが必要ですが、ペロブスカイト太陽電池は塗布や印刷といった比較的シンプルな技術で作れるため、量産化が容易なんです。これは将来的な価格競争力にも直結します。
### 2025年に達成された技術的進歩
2025年は、ペロブスカイト太陽電池にとって大きな飛躍の年でした。2025年1月、積水化学工業が変換効率15%、そして10年相当の耐久性を実証したことは大きなニュースとなりました。「変換効率」とは、太陽の光をどれだけ電気に変えられるかを示す数値のこと。15%という数字は実用化に十分なレベルです。
さらに同じく1月には、トヨタ自動車との共同開発で「4端子タンデム型」という高度な技術により、変換効率30%超を達成しました。これは既存のシリコン型太陽電池を上回る性能です。タンデム型というのは、簡単に言えば「二階建て構造」で、異なる波長の光を効率よく吸収できる仕組みのことです。
2025年5月には、積水化学が量産化に向けて新会社「積水ソーラーフィルム」を設立。資本金1億円で、積水化学が86%、日本政策投資銀行が14%を出資しました。政府系金融機関が出資に参画していることからも、この技術への国の期待の大きさがうかがえます。
8月にはリコーが東京体育館で実証事業を開始し、11月にはシャープが後発ながらタンデム型開発に参入し、製造コストを1割削減する技術を達成するなど、主要企業が次々と参入する動きが加速しました。
### 実社会での応用事例
2025年には、さまざまな場所で実証実験が行われました。大阪・関西万博の会場バスターミナルには250メートルにわたって設置され、来場者の目を引きました。鉄道の防音壁への応用実験も進み、インフラとの融合も現実味を帯びてきています。
また、営農型太陽光発電(農業と太陽光発電を両立させる仕組み)への応用も検討されています。軽量で柔軟なフィルム型なら、農地への影響を最小限に抑えながら設置できる可能性があるんです。
## 政府の強力な後押し:国策としてのペロブスカイト太陽電池
### 次世代型太陽電池戦略の全体像
2024年11月、経済産業省が主導して「次世代型太陽電池戦略」が策定されました。これは単なる産業振興策ではなく、日本の再生可能エネルギー政策の中核に位置づけられる国家プロジェクトです。かつて世界トップだった日本の太陽電池産業は、中国企業の台頭により厳しい状況に追い込まれました。ペロブスカイト太陽電池は、その巻き返しを図る「切り札」として期待されているのです。
この戦略には3つの大きな柱があります。第一に **「量産技術の確立」** 。2030年までにGW級(ギガワット級)の生産体制を構築することを目指しています。GWというのは100万kWのこと。これは原子力発電所1基分に相当する規模です。
第二に **「需要の創出」** 。政府施設への率先導入を検討するとともに、環境価値を重視する民間企業への導入を促進します。さらに日本政策投資銀行が資金面でサポートする体制も整えています。
第三に **「産業競争力の強化」** 。2040年までに約20GWの導入を目標とし、2030年時点で発電コストを14円/kWhまで下げることを目指しています。これはシリコン型と十分に競争できる水準です。
### 巨額の資金投入
政府の本気度を示すのが、投入される資金の規模です。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金から378億円、GXサプライチェーン構築支援事業からは なんと3,145億円という巨額の投資が投じられています。
特に注目されるのが、積水化学工業への支援です。同社はGXサプライチェーン構築支援で補助金総額1,572.5億円(補助率1/2、対象総額3,145億円)を獲得しました。この資金で、大阪府堺市にあるシャープの本社工場設備を譲り受け、2027年4月には100MWの製造ラインを稼働させる計画です。さらに2030年にはGW級のラインを構築する予定で、事実上の「国策企業」として最前線に立っています。
2025年9月には、NEDOのGI基金事業で、2030年度までに200~300MW以上の量産化構想を持つ企業3社が追加採択されました。具体的な企業名は一部のみ公開されていますが、積水化学、パナソニックホールディングス、リコーなどが有力候補とされています。
### 国際連携の動き
日本は国内だけでなく、国際的な連携も進めています。2025年3月には英国と協力覚書を締結し、技術開発や国際標準化で協力する体制を構築しました。次世代技術では、いかに早く国際標準を握るかが競争力を左右します。日本発の技術を世界標準にするための布石が着々と打たれているのです。
## 2026年商用化を目指す主要企業の動向
### 積水化学工業:量産化のトップランナー
2026年3月、積水化学工業が世界初の商用化を実現する見込みです。同社は2025年1月に新会社「積水ソーラーフィルム」を設立し、実用化への準備を着々と進めてきました。
積水化学の強みは **「ロール・ツー・ロール方式」** という量産技術です。これはフィルムを巻物のように連続的に生産する方法で、印刷技術に似た仕組みです。この技術により、大量生産とコスト削減の両立が可能になります。
2027年4月までに100MWの生産ラインを稼働させ、2030年にはGW級の生産体制を目指しています。国内だけでなく海外展開も視野に入れており、グローバルな事業展開が期待されます。
### パナソニックホールディングス:ガラス型で建材市場を狙う
パナソニックホールディングスは、フィルム型ではなく **「ガラス型」** に特化した戦略を取っています。2026年には試験販売を開始する予定で、世界最高レベルの変換効率(実用サイズ)を達成したと発表しています。
ガラス型の最大の利点は、建材としての耐久性と美観を兼ね備えている点です。BIPV(建材一体型太陽電池)市場を主なターゲットとしており、都市部の高層ビルやデザイン性の高い建築物への展開に強みを持ちます。
このプロジェクトには、AGC(旧旭硝子)や日本板硝子といったガラス大手も参画しており、素材から製造まで一貫した技術開発体制が構築されています。パナソニックブランドの信頼性も相まって、高付加価値市場での展開が期待されます。
### カネカ:タンデム型とBIPVに注力
カネカは、2025年を事業化の目標年としており、タンデム型とBIPVの両方に注力しています。同社はもともとフィルム型太陽電池の開発で実績があり、その技術とノウハウをペロブスカイト太陽電池に応用しています。
タンデム型は、ペロブスカイト層とシリコン層を組み合わせることで、単独では実現できない高効率を達成する技術です。カネカはこの分野で先行しており、技術的な優位性を確立しつつあります。
### シャープ:後発参入も製造コストで勝負
シャープは2025年11月に参入を発表した後発組ですが、太陽電池で約60年の実績を持つ老舗です。同社が注目されるのは、参入早々に **「製造コスト1割減」** を達成したこと。2026年までに変換効率30%超を目指すとしており、コスト競争力を武器に市場シェア獲得を狙っています。
太陽電池事業で培った量産技術と品質管理のノウハウは、ペロブスカイト太陽電池でも大きな強みとなるはずです。後発のハンデを技術力とコスト競争力で跳ね返せるかが注目されます。
### リコー:新規事業領域への挑戦
リコーは、オフィス機器メーカーとしてのイメージが強いですが、近年はエネルギーソリューション事業への転換を進めています。2025年8月には東京体育館で、配線工事不要の庭園灯設置という実証事業を開始しました。
リコーの強みは、印刷技術の応用です。ペロブスカイト太陽電池の製造には塗布や印刷技術が使われますが、リコーはこの分野で長年の技術蓄積があります。まだ実証フェーズですが、新規事業の柱として育成していく方針が明確です。
## 市場規模の予測と成長の見通し
### 世界市場の急成長シナリオ
ペロブスカイト太陽電池の市場規模は、今後急激な成長が見込まれています。複数の調査機関の予測を総合すると、以下のような成長カーブが描かれます。
2024年時点では約3億ドル程度だった世界市場は、2032年には36億ドルに達すると予測されています。年平均成長率(CAGR)は24~38%という驚異的な数字です。さらに長期では、2034年に242億ドル、2040年には3兆9,480億円(富士経済調べ)と、2024年比で約67倍にまで膨らむ見通しです。
この成長を牽引するのは、従来の太陽電池では対応できなかった市場セグメントの開拓です。軽量で柔軟という特性を活かし、ビル壁面、老朽化した建物の屋根、インフラ設備、さらには自動車や船舶などのモビリティへの応用も期待されています。
### 国内市場の詳細予測
日本国内に絞ってみると、軽量・フレキシブル太陽電池市場は2024年度の約92億円から、2040年度には449億円へと約4.9倍に成長する見込みです。
用途別に見ると、最大のセグメントは **BIPV(建材一体型太陽電池)** です。新築ビルだけでなく、既存建物の改修需要も取り込めるため、市場ポテンシャルは非常に大きいと考えられます。
次に大きいのが産業用の屋根・壁面です。工場や倉庫など、広大な屋根を持つ施設は多いものの、老朽化や耐荷重の問題で従来の太陽電池が設置できないケースが多くありました。軽量なペロブスカイト太陽電池なら、こうした「眠れる資産」を発電設備に変えられます。
インフラ分野も注目です。鉄道の防音壁、高速道路の遮音壁、トンネルの照明電源など、応用範囲は多岐にわたります。さらに、浮体式の太陽光発電や営農型太陽光発電など、特殊用途での展開も期待されています。
### 地域別の競争状況
世界的に見ると、現在のところ **中国** が商用化でリードしています。Microquantaという企業が2025年に200MWの工場を2か所で稼働させ、さらに最大3GWの工場を建設中です。中国は太陽電池の生産で世界を席巻した実績があり、ペロブスカイト太陽電池でも量産化では一歩先を行っています。
**米国** では、First Solarがスウェーデンの企業Evolarを買収し、タンデム型の開発を加速させています。米国企業は技術開発では強いものの、製造面では中国や日本に後れを取っている印象です。
**欧州** は技術開発では進展しているものの、商用化では日本や中国に遅れています。ただし、環境規制が厳しいため、将来的には大きな市場になる可能性があります。
こうした国際競争の中で、**日本** は2025年を「ペロブスカイト元年」と位置づけ、官民一体で巻き返しを図っています。技術力と品質管理能力を武器に、高付加価値市場でのシェア獲得を目指す戦略です。
## 実用化に向けた課題とリスク要因
### 技術面での課題
ペロブスカイト太陽電池の実用化には、まだいくつかの技術的課題が残されています。最も重要なのが **「長期耐久性」** です。現時点では10年相当の耐久性が実証されていますが、従来のシリコン型太陽電池は25年以上の寿命が期待されています。商用製品として広く普及するには、さらなる耐久性の向上が必要です。
次に **「鉛フリー化」** の課題があります。現在のペロブスカイト太陽電池には微量の鉛が含まれており、環境への影響が懸念されています。各社は鉛を使わない代替材料の研究を進めていますが、性能を維持しながら鉛フリー化を実現するのは技術的に難しいとされています。
また、**「大面積化」** も課題です。実験室レベルでは高効率を達成できても、実用サイズに拡大すると効率が低下する傾向があります。変換効率を維持しながら大面積化する技術の確立が求められています。
### 市場競争上のリスク
技術的な課題だけでなく、市場環境にもリスク要因があります。まず懸念されるのが **「中国企業の低価格攻勢」** です。太陽電池市場では過去に、中国企業の大量生産と低価格戦略により、日本企業が次々と撤退に追い込まれました。ペロブスカイト太陽電池でも同様のシナリオが繰り返される可能性があります。
次に、**「既存シリコン型のコスト低下」** も脅威です。シリコン型太陽電池は技術が成熟しており、今でもコスト低下が続いています。ペロブスカイト太陽電池が市場に浸透する前に、シリコン型が十分に安くなってしまえば、差別化が難しくなります。
さらに、**「タンデム型での技術競争」** も激化しています。ペロブスカイトとシリコンを組み合わせたタンデム型は高効率を実現できますが、構造が複雑で製造コストが高くなる傾向があります。技術開発競争で後れを取れば、市場シェア獲得は難しくなるでしょう。
### 事業化のリスク
商業的な観点からも、いくつかのリスクがあります。現在の開発は政府の **「補助金」** に大きく依存しています。補助金が縮小されたり打ち切られたりすれば、事業の継続性に影響が出る可能性があります。将来的には補助金なしで市場競争力を持つ必要があります。
また、**「発電コスト目標の達成」** も重要です。政府は2030年時点で14円/kWhという目標を掲げていますが、これを達成できなければ、市場での競争力は限定的になります。
国際市場での展開には **「標準化」** の問題もあります。各国で異なる規格や認証制度があり、国際標準化で主導権を握れなければ、グローバル展開が難しくなります。日本が英国と協力覚書を締結したのも、こうした標準化競争を意識したものです。
## 2026年以降の展望:商用化元年からの道のり
### 2026年に注目すべきマイルストーン
2026年は、ペロブスカイト太陽電池にとって歴史的な「商用化元年」となります。3月には積水化学工業が世界初の商用化に踏み切り、実際に市場で販売される製品が登場します。これは単なる試験販売ではなく、本格的な商用製品としての出荷です。
年内にはパナソニックホールディングスも試験販売を開始する予定で、ガラス型とフィルム型という異なるアプローチの製品が市場に出揃います。これにより、用途に応じた選択肢が広がり、市場の裾野が広がることが期待されます。
2026年通期では、100MWレベルの生産実績が確認できるかどうかが重要なポイントです。実験室レベルの技術が、本当に量産化できるのかを見極める年になります。
政策面では、政府施設への率先導入が始まる見込みです。公共施設での採用実績は、民間企業の導入判断にも影響を与えるため、市場形成の起爆剤となる可能性があります。
### 中期的展望(2027~2030年)
2027年4月には、積水化学工業の100MW製造ラインが本格稼働します。この段階で、実際の製造コストや品質の安定性が明らかになり、ビジネスとしての実現可能性が評価されることになります。
2028年頃には、発電コスト14円/kWhの達成が目標とされています。これが実現すれば、既存のシリコン型太陽電池と十分に競争できる価格帯となり、市場での本格的な普及が始まるでしょう。
2030年は、政府が掲げるGW級生産体制構築の目標年です。この段階で、日本企業が世界市場でどのようなポジションを確立できるかが明らかになります。中国企業との競争、欧米市場への進出など、グローバルな事業展開が本格化する時期です。
### 長期ビジョン(2030~2040年)
2040年に向けては、政府が掲げる20GWの導入目標が大きなマイルストーンです。これは原子力発電所20基分に相当する規模で、日本の再生可能エネルギー政策において重要な位置を占めます。
この期間には、技術の成熟化とコストの低下が進み、市場も安定成長フェーズに入ると予想されます。初期の技術開発競争から、量産効率や品質管理を競う段階へと移行し、業界の再編も起こる可能性があります。
用途面では、BIPV市場が本格的に立ち上がり、新築建物の標準装備となる可能性もあります。また、自動車や船舶などのモビリティ分野への応用も進み、市場の多様化が進むでしょう。
## まとめ
ペロブスカイト太陽電池は、2026年の商用化を皮切りに、今後急速な成長が見込まれる次世代技術です。軽量、柔軟、低コストという革新的な特性により、従来の太陽電池では対応できなかった市場セグメントを開拓する可能性を秘めています。
日本政府は、この技術を再生可能エネルギー政策の中核に位置づけ、NEDOのグリーンイノベーション基金378億円、GXサプライチェーン構築支援3,145億円という巨額の資金を投入しています。積水化学工業、パナソニックホールディングス、カネカ、シャープ、リコーといった主要企業が、それぞれの強みを活かした開発を進めています。
市場規模は、2024年の約3億ドルから2040年には約4兆円規模へと、67倍もの成長が予測されています。国内市場も2024年度の92億円から2040年度には449億円へと約5倍に拡大する見込みです。
ただし、長期耐久性の確保、鉛フリー化、大面積化といった技術的課題や、中国企業との価格競争、既存シリコン型とのコスト競争といった市場リスクも存在します。これらの課題をいかに克服するかが、今後の成功の鍵を握ります。
2026年は「ペロブスカイト太陽電池商用化元年」として、日本の再生可能エネルギー産業史に刻まれる年となるでしょう。積水化学工業の3月の商用化開始は、長年の研究開発が結実する歴史的瞬間です。この技術が、かつて世界をリードした日本の太陽電池産業を再び輝かせることができるのか。2026年からの数年間が、その答えを示すことになります。
ペロブスカイト太陽電池の進化は、単なる技術トレンドではなく、私たちのエネルギーの未来を変える可能性を持っています。建物の壁が発電し、車の屋根が電気を生み出し、農地が食糧とエネルギーの両方を生産する。そんな未来が、すぐそこまで来ています。この技術の発展を、ぜひ注目して見守っていきましょう。
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