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トランプ関税違法判決を徹底解説|最高裁の判断と今後の影響

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目次

はじめに

2026年2月20日、アメリカの連邦最高裁判所が歴史的な判決を下しました。トランプ大統領が課していた大規模な関税が「違法」であるという判断です。この判決により、推定1,750億ドル(約26兆円)もの関税が無効化され、アメリカの通商政策は大きな転換点を迎えています。

この判決は、日本を含む世界中の経済に影響を及ぼす可能性があります。関税が撤廃されることで、製品価格にどんな変化があるのか、企業活動はどう変わるのか、そして今後の米国の通商政策はどうなるのか。多くの疑問が浮かんでくることでしょう。

この記事では、最高裁判決の内容をわかりやすく解説し、どんな関税が無効になったのか、誰が返還を受けられるのか、そしてトランプ政権がどんな代替策を検討しているのかを詳しくお伝えします。複雑な法律用語もできるだけかみ砕いて説明しますので、通商政策に詳しくない方でも理解できる内容となっています。

トランプ関税違法判決とは?最高裁の判断を詳しく解説

判決の基本的な内容

2026年2月20日の判決は、Learning Resources, Inc. v. Trump(事件番号24-1287)という裁判で下されました。最高裁は6対3の評決で、トランプ大統領が「国際緊急経済権限法(IEEPA)」という法律に基づいて課した関税が違憲であると判断しました。

IEEPAとは、もともと国家の安全保障上の緊急事態に対処するために大統領に与えられた権限です。トランプ大統領はこの法律を根拠に、中国やメキシコ、カナダなどに対して大規模な関税を課していました。しかし、最高裁はこの使い方が憲法違反だと結論づけたのです。

なぜ違法とされたのか:重要問題原則の適用

最高裁が今回の判決で重視したのは、「Major Questions Doctrine(重要問題原則)」という考え方です。これは、国にとって重要な問題について、議会が明確に許可していない限り、大統領が独自の判断で大きな権限を行使してはいけないという原則です。

アメリカの憲法では、税金を課す権限は議会に属すると明記されています。関税も税金の一種ですから、本来は議会が決めるべきものです。大統領がこの権限を使うには、議会から明確な許可が必要なのです。

ところが、IEEPAという法律には「取引を制限する」権限は書かれていますが、「税を課す」とは明示されていません。最高裁は、この曖昧な表現だけでは、憲法上重要な課税権限を大統領に委ねたことにはならないと判断しました。

さらに重要なのは、過去にIEEPAを関税賦課に使った大統領が一人もいなかったという点です。トランプ政権の解釈は前例のない権限拡大であり、それを認めることは大統領の権限を過度に広げることになると最高裁は考えたのです。

判決が意味するもの

この判決は、単に関税が撤廃されるというだけの話ではありません。大統領の行政権限に対して、司法が明確な制約を示したという点で、非常に重要な意味を持ちます。

今後、大統領が経済政策で使える法的な手段は、より厳格な審査を受けることになるでしょう。これは一方で政策の不確実性を高める側面もありますが、他方で大統領が一方的に経済政策を変更することへの歯止めにもなります。

無効化された関税の範囲と影響を整理

どの関税が無効になったのか

今回の判決で無効化された関税は、大きく分けて2つのカテゴリーに分類されます。

フェンタニル関連関税

トランプ大統領は、麻薬フェンタニルの流入を防ぐという名目で、複数の国に追加関税を課していました。具体的には、中国に対して10%、メキシコに対して25%、カナダに対しては35%という高率の関税です。これらはすべてIEEPAに基づいていたため、今回の判決で無効となりました。

相互関税

トランプ大統領は2026年4月2日を「Liberation Day(解放の日)」と名付け、各国との貿易不均衡を是正するという名目で「相互関税」を発表していました。これは、相手国がアメリカ製品に課している関税率に応じて、同等かそれ以上の関税をかけるという仕組みです。

対象国は50カ国以上に及び、EU諸国、イギリス、日本、韓国、ブラジル、スイスなどが含まれていました。税率は国によって異なりますが、10%から50%の範囲で設定されていました。これらの相互関税もIEEPAに基づいていたため、判決によって無効化されています。

存続する関税もある

重要なポイントとして、すべての関税が撤廃されたわけではありません。「1962年通商拡大法第232条(Section 232)」という別の法律に基づく関税は、今回の判決の影響を受けずに存続しています。

Section 232に基づく主な関税には、以下のようなものがあります:

  • 鉄鋼に対する25%の関税
  • アルミニウムに対する10%の関税
  • 自動車および自動車部品に対する25%の関税
  • 銅製品、針葉樹・木材、家具、半導体などへの関税

Section 232は「国家安全保障」を理由に関税を課すことができる法律で、IEEPAとは法的根拠が異なるため、今回の判決では扱われませんでした。

経済規模への影響

ペンシルバニア大学ウォートン校の予算モデル(Penn Wharton Budget Model)によると、無効化されたIEEPA関税は、2025年第4四半期の関税収入の約67%を占めていました。つまり、アメリカ政府の関税収入の3分の2が一気に失われることになります。

これは政府の財政に大きな影響を与えるだけでなく、企業や消費者にも広範な影響をもたらします。関税が撤廃されることで、輸入品のコストが下がり、最終的には消費者価格の低下につながる可能性があります。

業界ごとの影響の違い

今回の判決の影響は、業界によって大きく異なります。

プラスの影響を受ける業界

「ハイテク・エレクトロニクス業界」は大きな恩恵を受ける可能性があります。多くの電子機器は中国やアジア諸国から輸入されているため、関税撤廃により仕入れコストが大幅に下がります。

「小売・消費財業界」も同様です。衣料品、家具、日用品など、幅広い製品の輸入コストが削減されるため、利益率の改善が期待できます。

「物流業界」は特殊なケースです。FedExやUPSなどの大手物流企業は、過去に支払った関税の返還を求める訴訟を起こしており、これが認められれば大きな資金の流入が見込まれます。

マイナスの影響を受ける業界

一方、「鉄鋼・金属業界」にとっては厳しい状況が続きます。Section 232に基づく既存の関税は継続するものの、他の関税が撤廃されることで輸入品との競争が激化する可能性があります。

「自動車業界」は中立的な立場です。自動車本体および主要部品にはSection 232関税が継続して適用されるため、劇的な変化はありません。

返還問題の行方:1,750億ドルは誰の手に

返還手続きの複雑さ

最高裁が関税を違法と判断したことで、新たな疑問が浮上しています。それは、既に徴収された推定1,750億ドル(約26兆円)の関税は誰に返還されるのか、という問題です。

実は、最高裁の判決には、この巨額の返還をどのように行うべきかについて、具体的な指示が含まれていません。この問題は、国際貿易裁判所(Court of International Trade)などの下級裁判所に委ねられています。

返還の手続きは非常に複雑になると予想されています。誰がいつどのように返還を請求できるのか、どの程度の証拠が必要なのか、返還の優先順位はどうなるのか。これらすべてが今後の裁判で決定されることになります。

誰が返還を受けられるのか

返還の受益者は、主に次のようなグループに分かれます。

大企業の輸入業者

最も返還を受けやすいのは、法的資源を持つ大企業です。すでに物流大手のFedExは、大規模な返還訴訟を起こしています。会員制小売大手のCostcoも同様の訴訟を進めています。これらの企業は、支払った関税の詳細な記録を持っており、法務部門も充実しているため、返還を受ける可能性が高いと言えます。

中小企業の課題

一方、中小規模の輸入業者にとっては、返還を受けるのは容易ではありません。訴訟を起こすには弁護士費用がかかり、証拠書類を整理するのにも時間と労力が必要です。返還額よりも訴訟費用の方が高くなる場合、返還を諦めざるを得ないケースも出てくるでしょう。

一般消費者は対象外の可能性

最も不利な立場にあるのは、実は一般消費者かもしれません。企業が関税コストを製品価格に上乗せしていた場合、実質的に関税を負担していたのは消費者です。しかし、消費者が直接関税を支払ったわけではないため、個別に返還を請求することは極めて困難です。

返還訴訟の長期化

さらに複雑にしているのは、トランプ政権が返還訴訟に対して争う姿勢を示していることです。政権側は、返還を最小限に抑えるために様々な法的議論を展開すると予想されています。

このため、実際に返還が行われるまでには数年を要する可能性が高いと見られています。企業にとっては、返還金を当てにした資金計画を立てることは難しく、慎重な対応が求められます。

トランプ政権の代替策:Section 122とその他の選択肢

新たな10%関税:Section 122の活用

最高裁判決が下された直後、トランプ政権は素早く動きました。「1974年通商法第122条(Section 122)」という別の法律に基づき、新たに10%の「ベースライン関税」を発表したのです。その後、この税率を15%に引き上げる可能性も示唆されています。

Section 122は、「深刻かつ重大な国際収支赤字」に対処するために、大統領に一時的な関税賦課権限を与える法律です。トランプ大統領は、アメリカの巨額の貿易赤字を理由に、この条項を発動しました。

Section 122の制約

ただし、Section 122にはいくつかの重要な制約があります。

まず、税率の上限が15%に定められています。トランプ政権が望むような高率の関税を課すことはできません。

次に、有効期間が150日間(約5ヶ月)に限定されています。それ以上延長するには議会の承認が必要です。しかし、2026年11月には中間選挙が控えており、選挙を前にした議会が関税延長を承認する可能性は低いと見られています。

さらに、Section 122にも法的な脆弱性があります。「国際収支赤字」の解釈を巡って、新たな訴訟が起こされる可能性があります。最高裁が重要問題原則を適用したように、Section 122の広範な使用も司法の審査対象になるかもしれません。

除外品目の存在

興味深いことに、10%のベースライン関税には多くの除外品目があります:

  • 重要鉱物・金属
  • エネルギー製品(石油、天然ガスなど)
  • 医薬品および医薬成分
  • 特定の電子機器
  • 航空宇宙製品
  • USMCA協定(米国・メキシコ・カナダ協定)に基づく免税品
  • Section 232関税の対象品

これらの除外により、Section 122の実質的な影響は限定的になっています。特にカナダとメキシコからの製品の大部分はUSMCA協定により既に免税となっているため、これらの国への影響は小さいと言えます。

その他の法的選択肢

トランプ大統領は判決後、「関税はまだ終わっていない」と強調し、複数の代替的な法的根拠を検討していることを示唆しました。

Section 301(通商法第301条)

これは、不公正な貿易慣行や貿易協定違反に対する対抗関税を課すことができる法律です。ただし、貿易代表部(USTR)による正式な調査が必要で、通常6ヶ月から1年の時間がかかります。

トランプ政権は判決と同時に、Section 301調査の開始を発表しました。最も可能性が高い対象は中国で、知的財産権の侵害や技術移転の強要などを理由とする可能性があります。実際、2018年から2019年の「米中貿易戦争」では、Section 301に基づいて中国製品に最大25%の関税が課されました。

Section 201(通商法第201条)

これは、輸入の急増により国内産業が「深刻な損害」を受けている場合に使える法律です。ただし、国際貿易委員会(ITC)による正式な調査と報告が必要で、調査には9ヶ月から1年かかります。

Section 201は特定の製品に対して適用されるもので、国別の関税ではありません。過去には太陽光パネルや洗濯機に対して使用されたことがあります。今後は電気自動車やバッテリーなどが対象になる可能性があります。

Section 338(1930年関税法第338条)

これは、他国が米国貿易を「不当に差別」している場合に使える法律で、税率の上限は50%です。一部の解釈では正式調査が不要とされていますが、条文が曖昧なため、広範な適用は再び最高裁での審理対象になる可能性があります。

Section 232の拡大適用

現在も有効なSection 232を、さらに多くの製品に適用する可能性もあります。候補としては、医薬品・医療機器(国家安全保障上不可欠)、レアアース・重要鉱物(中国依存度の高さ)、食品(食料安全保障)などが考えられます。

ただし、これには商務省による「国家安全保障への脅威」認定が必要で、過去にチーズや自動車へのSection 232適用は国際的な批判を浴びた経緯があります。

経済全体への影響:インフレ、財政、企業活動

インフレへのプラス効果

イェール大学のBudget Labによる推計では、IEEPA関税の完全撤廃により、アメリカの平均実効関税率は16.9%から9.1%に低下するとされています。

これにより、関税が原因で発生していたインフレが1.2%から0.6%へと半減すると予測されています。特に、エレクトロニクス、アパレル、家具などの製品カテゴリーでは、価格低下効果が顕著になる可能性があります。

ただし、Section 122による10%関税は、この効果を部分的に相殺します。また、新たなSection 301関税が中国に対して課された場合、インフレ低下効果はさらに限定的になるでしょう。

財政への深刻な影響

アメリカ政府にとって、関税収入の激減は深刻な問題です。IEEPA関税は2025年度の財政赤字の約10%を賄っていました。

トランプ政権は「One Big Beautiful Bill(一つの大きく美しい法案)」という包括的な減税案を推進しており、その財源として関税収入を当てにしていました。関税収入が大幅に減少することで、財政赤字がさらに拡大する可能性があります。

財政赤字の拡大は、国債の発行増加につながります。これは長期的には金利上昇圧力となり、政府の借入コストを増加させるだけでなく、民間企業の資金調達にも影響を及ぼす可能性があります。

企業活動への複雑な影響

企業にとって、今回の判決は両刃の剣です。

プラスの側面としては、関税政策に法的な制約が加わったことで、政策の予測可能性がわずかながら向上する点が挙げられます。大統領が突然大規模な関税を発動するリスクが減ったことで、長期的な事業計画や設備投資の判断がしやすくなります。

また、関税撤廃により輸入コストが下がることで、利益率が改善する企業も多いでしょう。特に、製品の多くを輸入に依存している小売業やテクノロジー企業にとっては朗報です。

マイナスの側面としては、政策の不安定性が完全には解消されていない点があります。トランプ政権が代替的な関税手段を次々と試みることで、企業は引き続き不確実な環境に置かれます。

特に、国際的なサプライチェーンを持つ企業にとっては、どの国からどの製品を調達するかという戦略を頻繁に見直す必要が出てきます。これは、業務の効率性を低下させる要因となります。

消費者への影響

最終的に、関税の影響を最も受けるのは一般消費者です。

関税が撤廃されることで、輸入品の価格が下がる可能性があります。ただし、企業が即座に価格を引き下げるとは限りません。市場の競争状況や、企業の価格戦略によって、価格低下のタイミングや程度は異なるでしょう。

一方で、関税政策の不確実性が続くことで、企業が価格を頻繁に変更せざるを得なくなる可能性もあります。これは消費者にとって、買い物の計画を立てにくくする要因となります。

国際関係への波及:同盟国の反応と今後

EUとイギリスの不満

ヨーロッパ諸国は、今回の展開に複雑な感情を抱いています。

EU(欧州連合)とイギリスは、トランプ政権との交渉で、既に関税引き下げで「取引」をしていました。つまり、アメリカの要求に応じて一定の譲歩をしていたのです。

ところが、Section 122による新たな10%関税では、これらの国々は特別扱いを受けず、他の国と同じ関税が課されることになりました。これは、「せっかく譲歩したのに意味がなかった」という不満につながっています。

EUは、既に合意していた貿易協定の批准を延期する動きを見せており、アメリカの信頼性に疑問を投げかけています。今後、大西洋を挟んだ貿易関係が再び緊張する可能性があります。

カナダとメキシコの状況

カナダとメキシコは、USMCA協定(米国・メキシコ・カナダ協定)により、多くの製品が既に免税となっています。そのため、Section 122の影響は比較的限定的です。

しかし、トランプ政権は「取引条件の変更」を示唆しており、USMCA協定そのものの再交渉を求める可能性もあります。これは北米のサプライチェーンに不安定さをもたらす要因となります。

カナダ議会は既に、アメリカの関税に対する対抗措置として独自の立法を行っており、両国関係は微妙な局面を迎えています。

中国との関係:新たな貿易戦争の予兆

中国にとって、IEEPA関税の撤廃は短期的にはプラスです。しかし、トランプ政権がSection 301調査を開始したことで、新たな大規模関税が課される可能性が高まっています。

2018年から2019年の「米中貿易戦争」では、両国が報復関税の応酬を繰り返し、世界経済に大きな影響を与えました。今回も同様のパターンが繰り返される懸念があります。

中国は既に、アメリカの動きに対して警戒を強めており、対抗措置の準備を進めていると見られています。米中関係のさらなる悪化は、グローバルなサプライチェーン、特にハイテク製品や希土類(レアアース)などの分野に深刻な影響を与える可能性があります。

国際貿易秩序への影響

より大きな視点で見ると、今回の一連の出来事は、国際貿易秩序そのものに疑問を投げかけています。

WTO(世界貿易機関)のルールでは、一方的な関税賦課には制約があります。しかし、アメリカは「国家安全保障」という理由を盾に、これらのルールの例外を主張してきました。

今回の最高裁判決は、アメリカ国内法の観点から大統領の権限を制約するものですが、国際的な貿易ルールとの整合性については別の問題です。他の国々が、アメリカの一方的な行動に対してどのように対応するか、そしてWTOなどの国際機関がどのような役割を果たすかが、今後の焦点となります。

今後の展望:不確実性の中での安定を求めて

今後6ヶ月の重要な節目

今後数ヶ月は、アメリカの通商政策にとって重要な時期となります。

3月から4月にかけては、Section 301調査の具体的な内容が発表される見込みです。どの国のどの製品が対象となるか、どの程度の税率が検討されているかが明らかになるでしょう。

4月から5月には、国際貿易裁判所での返還訴訟が本格化します。初期の判決が返還手続きの前例となるため、企業や法律専門家から注目を集めるでしょう。

6月から7月は、Section 122の有効期限が迫る時期です。150日間の期限が切れる前に、トランプ政権が議会に延長を求めるのか、それとも別の法的根拠に移行するのかが焦点となります。

11月には中間選挙が行われます。選挙結果によっては、議会の構成が大きく変わり、通商政策に対する姿勢も変化する可能性があります。関税政策は選挙戦の重要な争点の一つになるでしょう。

政策の不確実性は続く

今回の最高裁判決は、トランプ大統領の一つの関税ツールを奪いましたが、すべての選択肢を封じたわけではありません。政権は「モグラたたき」のように、次々と別の法的根拠を試みるでしょう。

この状況は、企業にとっても消費者にとっても、計画を立てにくい環境を作り出します。サプライチェーンの最適化、価格設定、在庫管理など、多くの経営判断が関税政策の動向に左右されるからです。

ただし、司法が大統領の権限に一定の歯止めをかけたことで、極端な政策変更のリスクは若干低下したと言えます。これは長期的には、政策の予測可能性向上につながる可能性があります。

新しい通商政策の模索

今回の判決は、アメリカが新しい通商政策のあり方を模索するきっかけになるかもしれません。

大統領の一方的な権限行使に対する制約が強まったことで、議会がより積極的な役割を果たす必要性が高まっています。今後は、大統領と議会が協力して、より安定的で予測可能な通商政策の枠組みを構築することが求められるでしょう。

また、同盟国との関係修復も重要な課題です。一方的な関税賦課と撤廃を繰り返すことで、アメリカの信頼性は傷ついています。長期的な通商関係を築くには、より協調的なアプローチが必要となります。

グローバル化の新しい形

今回の出来事は、グローバル化の新しい段階を象徴しているのかもしれません。

過去数十年間、世界は自由貿易の拡大と関税の低下を経験してきました。しかし、近年は保護主義的な動きが強まっていました。今回の判決は、極端な保護主義に対する一種の反動とも言えます。

ただし、完全に自由な貿易に戻るわけではありません。「信頼できるサプライチェーン」「経済安全保障」といった概念が重視される中で、新しい形のグローバル化が模索されています。

地域ごとに複数のサプライチェーンを持つ「地域分散型」のアプローチや、重要物資については国内生産を維持する「選択的自給」の考え方が、今後の主流になる可能性があります。

まとめ

2026年2月の最高裁判決は、アメリカの通商政策における歴史的な転換点となりました。トランプ大統領がIEEPAに基づいて課した大規模な関税が違憲と判断され、推定1,750億ドルもの関税が無効化されたのです。

この判決の核心は、大統領の行政権限に対する司法の明確な制約でした。重要問題原則の適用により、今後大統領が経済政策で使える手段は、より厳格な審査を受けることになります。

影響は広範囲に及びます。企業は輸入コストの低下という恩恵を受ける一方、政策の不確実性とも向き合わなければなりません。消費者は価格低下の可能性がある一方、返還の恩恵を直接受けることは難しいでしょう。

トランプ政権は、Section 122、301、201、232など、複数の代替的な法的根拠を模索しています。これにより、関税政策は終わったわけではなく、形を変えて継続する可能性が高いと言えます。

国際関係にも波紋が広がっています。EU、イギリス、カナダなどの同盟国は、アメリカの政策の一貫性に疑問を抱いており、中国との間では新たな貿易戦争の懸念が高まっています。

今後数ヶ月は、Section 122の期限切れ、Section 301調査の進展、返還訴訟の展開、そして中間選挙と、重要なイベントが続きます。これらの動向が、今後のアメリカ通商政策の方向性を決定づけるでしょう。

長期的には、この判決は大統領の一方的な経済政策に対する歯止めとなり、より予測可能な政策環境につながる可能性があります。同時に、グローバル化の新しい形として、地域分散型のサプライチェーンや選択的自給の考え方が広がっていくかもしれません。

通商政策は、私たちの日常生活に深く関わっています。製品の価格、仕事の安定性、国際関係の安定など、多くの側面に影響を及ぼします。今回の判決を理解することは、これからの世界経済の動きを読み解く上で重要な手がかりとなるでしょう。

不確実性は続きますが、その中にも新しい秩序の芽生えを見出すことができます。司法による権力の抑制、議会の役割の再認識、国際協調の重要性。これらは、より安定した通商政策の基盤となる可能性を秘めています。

今後も、アメリカの通商政策の動向から目が離せません。そして、その影響は日本を含む世界中に及ぶことを、私たちは忘れてはならないでしょう。

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